内容説明
「一筆」とは田んぼ1枚のこと?自己資金ゼロ!広域自治組織がローンで建てた巨大水路橋。朝寝坊した農民の罰則でできた田んぼとは?「日本の棚田百選」をはじめ、全国各地に数多く残る棚田がどのようにしてできたのか、その開発事情や歴史的推移はじつはよくわかっていない。通潤橋で有名な白糸台地(熊本県山都町)の棚田は近世、さらには古代・中世までさかのぼり、棚田の歴史を再構成できるほぼ唯一の対象といえる。本書は棚田の成り立ちとその開発にかかわった農民の暮らしをリアルに再現した初めての歴史書である。
目次
序章 棚田の歴史を創る
第1章 山間台地の村々と棚田の始原
第2章 棚田の初期的景観
第3章 近世の新地開発と水利土木事業
第4章 巨大水路橋の建設
第5章 幕末の棚田造成
第6章 棚田景観の形成
第7章 棚田の農業生産
第8章 近現代の棚田システム
終章 棚田は、今
著者等紹介
吉村豊雄[ヨシムラトヨオ]
1948年佐賀県唐津市生まれ。広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。博士(文学)。専門は日本近世史。現在、熊本大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
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中山間地域の中世から近世にいたる 開墾の主体は畑地である(15頁)。 白糸台地棚田の一角に「朝寝開(あさねびらき)」 という水田がある。 朝寝坊をして田開き作業に遅れ、 罰として田開き労働を課せられ、 開かれたという水田(120頁)。 急傾斜地では田開きを断念した地域もある(148頁)。 本畑は、大地の谷筋から周辺丘陵部において、 古田=本田とならぶ開発系譜をもつ 古畑というべき存在(151頁)。 なぜ、棚田に魅力があるのか。 それは、くねった形、直線にはない美。 2014/05/18