人間選書
ローカルな思想を創る〈1〉技術にも自治がある―治水技術の伝統と近代

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  • サイズ B6判/ページ数 293p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784540031076
  • NDC分類 517
  • Cコード C0310

出版社内容情報

近代の治水技術がこわしてきた川と人との関わりの恢復を鋭く問う先に、地域づくりの方途を見る。

目次

第1編 自然・川・技術のあり方を問い直す(自然の豊かさと日本人の一万年―現代をみる視点;川から自然をみる意味―具体的な地域自然を相手にする科学の作法;近代科学技術は自然と敵対するものだったのか?―明治期日本の土木工学史から;近世から近代への連続と断絶―何が進歩で何が陥穽なのか ほか)
第2編 近代治水思想と川の文化の相克―川を治める技術から「自治」が始まる(治水思想の変化と現実的な水防対策;氾濫水は緩やかに溢れさせる―水害防備林の卓抜な機能;氾濫した水は河道に戻す―「霞堤」の本当の機能;堤防を切って氾濫水を戻す―「霞堤」の知恵を現代に生かす自主決壊 ほか)

著者等紹介

大熊孝[オオクマタカシ]
新潟大学工学部教授・河川工学者。1942年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。74年、新潟大学助手となり、85年から現職。専門は河川工学、土木史。NPO法人「新潟水辺の会」代表。水郷水都全国会議開催、自主映画『阿賀に生きる』制作などに取り組む
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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井上岳一

1
これは面白い。治水技術の移り変わりを軸に、人と川の関係性がどう変わってきたかとか、思想と技術の関係とかが語られる。近代化の過程は自治の破壊の過程で、それは一見、効率的で進歩的なんだけれど、後から振り返ると取り返しのつかない間違いをおかしてきたのだということがよくわかる。「技術の自治」という言葉はこなれないが、自治というものが、人間の社会だけの問題でなく、自然とどう付き合うかということも含んだ概念なんだということを本書には教えられた。こういうのを本物の技術者というのだろうな。感動します。2015/08/28

Noy_nak13

0
江戸時代に行われいていた見試しという方法を詳しく知りたいと思った。研究用に再読2014/03/24

Wonoken

0
河川技術に関して、治水思想的から実例まで幅広く書かれており、情報量のある一冊でした。2022/05/25

こーじ

0
技術の自治 その土地、文化にあった技術 そしてそれを後押しする行政、インフラ 技術は行政や大きな力に任せきりにするのではなく、市民がそこに参加すること、役割を分担すること。それによってその土地に愛着が生まれ、生きがいや文化が生まれる。 矛盾をとにかく無くそうとしてきた近代技術、そうではなくて矛盾を受け入れ折り合いをつけていくための技術。 2021/10/28

Tsubasa Kato

0
「土木技術は、つねに現時点において生産効率・経済効率を最大限に発揮する方向で駆使されてきた。その結果、どのようなことがもたらされたか。個別の場所性や地域性を無視した国土の画一化、風土性の消滅、という事態である。地方のさまざまな自然や文化が国家の成長目的のために破壊され、前述したように「国栄えて、山河なし」という状況にある」(92) ・6-8 22 ・36-37 43 48-49 53 ・82 ・92 203 233 253 2772020/05/08

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