出版社内容情報
トレント(北部)地方の地域精神医療実践に邁進してきた著者とその地に住み、生きる意欲を取り戻した「愛すべき人たち」の物語。
この本をジャンカルロに捧ぐ
まえがき――日本の読者へ
本書を推薦する――イタリア地域精神医療への思い……榎本 稔
謝 辞
共著者――ヤコポ・トマージ
レンツォ・デ・ステファニ――これまでの私の人生を、少しだけ
第1部 イタリア地域精神医療およびトレントにおける取り組みの歴史
1970-2015
1 精神病院からイタリア地域精神医療への移行
――フランコ・バザーリアの改革とその周辺
2 イタリア地域精神医療の誕生
――基本理念および良い治療方法
3 トレント精神保健局の紹介
――ファーレ・アッシエーメ(みんなでやろう)運動とUFE
第2部 ある精神医療の歩み――ジャンカルロ~マウリッツィオ
1978-2015
1 ジャンカルロ
――「僕は、なんで、生きてるんだろう?」
2 ジャンカルロからマウリッツィオへ
――世界は(おそらく)進んでいく
3 マウリッツィオ
――人生への生還
FOTO トレント・それぞれの肖像――撮影:アレッシオ・コセール
第3部 善良なるマッティ(頭のおかしい者たち)の肖像
?@ マーラ:2つのほほ笑みは5滴のバリウムに勝る
――温かく全員を迎えるということ
精神科医からのポイント:最初の受付対応
良い治療の実践:受付デスクと担当するUFEメンバー
主人公たちはかく語りき
?A アニータ:腕の良い庭師は、根っこまで手入れをする
――主人公としての家族
精神科医からのポイント:家族について
良い治療の実践:“家族会合サイクル”
主人公たちはかく語りき
?B ミケーレ:「知らない人からドロップをもらうのは危険ですよ」
――いつも決まった照会先があることの重要性
精神科医からのポイント:明確な情報と、継続的で一貫した照会先
良い治療の実践:ケースマネジャー
主人公たちはかく語りき
?C パオロ:自分たちのテリトリーに興味を抱けば、状況は見えてくる
――それは質の問題だ
精神科医からのポイント:クオリティの継続的向上(MCQ)
良い治療の実践:クオリティ向上グループと、そこから生まれた果実
主人公たちはかく語りき
?D サルヴァトーレ:“頭のおかしい”人間だって家を持つ権利がある
――“A”は、住居(abitare)のA
精神科医からのポイント:住む場所
良い治療の実践:居住支援マップと自由な共同生活
主人公たちはかく語りき
?E ステファノ:我、参加する。故に我あり
――治療プロセスを共有するということ
精神科医からのポイント:巻き込み、分かち合うこと
良い治療の実践:PCC2(治療共有プロセス2)
主人公たちはかく語りき
?F グイード:活動的な市民求む
――地域精神医療の現場で煌めく良心:真に自発的なボランティア
精神科医からのポイント:360度統合すること
良い治療の実践:フルタイムの活動的な市民求む
主人公たちはかく語りき
?G ジェシカ:精神病は感染する……そんな訳ありません
――デマを信じる人こそ頭がおかしい:治療より啓蒙活動を
精神科医からのポイント:啓蒙活動
良い治療の実践:若い世代にしっかりアピールしよう
主人公たちはかく語りき
?H レダ:なだめるのに、鞭はいらない
――クライシスは、やってくるときにはやってくる
精神科医からのポイント:急性期クライシス対応
良い治療の実践:ホットシチュエーション・カルテで急性期症状に打ち勝つ
主人公たちはかく語りき
?I マルコ:仕事を見つけた者は、宝を見つけた者
――安定した仕事があるということ
精神科医からのポイント:仕事について
良い治療の実践:最後尾に位置している者たちが、最前線の仕事を行うこと
主人公たちはかく語りき
?J ミレッラ:1回、10回、10万回、“頭のおかしい”仲間と旅をして
――ファーレ・アッシエーメが実現する常軌を逸したイベント
精神科医からのポイント:ファーレ・アッシエーメの持つ美しいエネルギー
良い治療の実践:ファーレ・アッシエーメの旅
主人公たちはかく語りき
第4部 180号法に跡継ぎ誕生
?@ 私は180号法――雨の中、誕生したのです
?A イタリア下院議会法案第2233号――提出趣旨
?B 180号法を成立させたイタリア
――いよいよ次は“181”…いや“2233”号法を!
訳者あとがき……………花野真栄
著者略歴
【著者紹介】
イタリア・トレント精神保健センター長
内容説明
トレント発・地域精神医療の究極のカタチ。
目次
第1部 イタリア地域精神医療およびトレントにおける取り組みの歴史1970‐2015(精神病院からイタリア地域精神医療への移行―フランコ・バザーリアの改革とその周辺;イタリア地域精神医療の誕生―基本理念および良い治療方法 ほか)
第2部 ある精神医療の歩み―ジャンカルロ~マウリッツィオ1978‐2015(ジャンカルロ―「僕は、なんで、生きてるんだろう?」;ジャンカルロからマウリッツィオへ―世界は(おそらく)進んでいく ほか)
第3部 善良なる“マッティ(頭のおかしい者たち)”の肖像(マーラ:2つのほほ笑みは5滴のバリウムに勝る―温かく全員を迎えるということ;アニータ:腕の良い庭師は、根っこまで手入れをする―主人公としての家族 ほか)
第4部 180号法に跡継ぎ誕生(私は180号法―雨の中、誕生したのです;イタリア下院議会法案第2233号―提出趣旨 ほか)
著者等紹介
デ・ステファニ,レンツォ[デステファニ,レンツォ] [De Stefani,Renzo]
1948年ローマ生まれ。1972年国立シエナ大学医学部卒。1976年国立ペルージャ大学精神医学専門課程修了。イタリアの精神病院を閉鎖に導いた180号法成立の原動力となった、フランコ・バザーリアの精神医療改革運動に参加。当時バザーリアの下に集った、多くの若い弟子の一人であった。シエナ精神病院、ペルジーネ精神病院に勤務。1980年から1990年にかけて、トレンティーノ州の渓谷地域にある、クレス精神保健機関の指揮を務める。イタリアにおける初の地域精神医療発足の運動に精力的に携わる
トマージ,ヤコポ[トマージ,ヤコポ] [Tomasi,Jacopo]
1983年パドヴァ生まれ。トレント在住。フィレンツェにてジャーナリズムを専攻し大学卒業。2014年よりプロのジャーナリスト。2004年よりトレント州の地元新聞・雑誌の記者として、政治からスポーツまで多くのテーマを担当。2012年より精神医療分野に関わり、ファーレ・アッシエーメ運動に感銘を受ける。UFEに関する記事を執筆。当事者や家族との温かい交流を通し、その可能性と他者を受け入れる姿勢の重要性について学ぶ。現在トレントのエリクソン出版社の出版局広報部で教育関係、社会福祉分野を担当
花野真栄[ハナノマサヒデ]
1973年福岡生まれ。その後岡山、名古屋、徳島、東京に移り住む。上智大学比較文化学部卒、国立ローマ大学“ラ・サピエンツァ”ラウレア課程(院レベル)修了。専門は比較文化・文化戦略。異文化間での魅せ方の違いに着目。日本文化を異文化圏で魅せるための方法や説明を研究。イタリアでは映画『ラストサムライ』等の伊語吹替・字幕監修、伊国営TV(RAI)での日本文化紹介プログラムや、日本風に舞台演出した「ハムレット」等のイタリア人舞台監督補助に携わる。現在、1級知的財産管理技能士、行政書士。2013‐2014年経産省クールジャパン・プロデューサー(倉敷市児島の国産ジーンズのプロモーション)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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弥太郎岩崎。
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