うつの医療人類学

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  • サイズ B6判/ページ数 234p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784535984127
  • NDC分類 493.76
  • Cコード C3047

出版社内容情報

うつ病が世界的な流行をみせている。この流行はなぜおきたのか。北米と比較しながら、日本の「うつ」の過去・現在・未来を透徹。

第1章 うつと自殺の医療人類学
第2章 「意志的な死」を診断する――自殺の医療化とその攻防
第3章 気のやまい――前近代の鬱
第4章 「神経衰弱」盛衰史――「過労の病」はいかに「人格の病」へとスティグ
マ化されたか
第5章 「精神療法」と歴史的感受性――二〇世紀日本のうつ病
第6章 鬱、ジェンダー、回復(1)――男性と「諦観の哲学」
第7章 鬱、ジェンダー、回復(2)――女性はうつ病をどのように経験してきたか
第8章 “ストレス”の病?
第9章 「労働科学」の新たな展開――脆弱性再考
第10章 自殺論――労働の病、レジリエンス、健康への意志
第11章 ローカル・サイエンス、グローバル・サイエンス

【著者紹介】
慶應義塾大学文学部人間科学専攻准教授

内容説明

うつ治療はどこから来て、どこへ行くのか。世界的な流行をみせるうつ病―増える患者、揺れる臨床現場のなかで日本のうつ病理解がもつ可能性を探る。

目次

序章 うつと自殺の医療人類学
第1章 「意志的な死」を診断する―自殺の医療化とその攻防
第2章 気のやまい―前近代の鬱
第3章 「神経衰弱」盛衰史―「過労の病」はいかに「人格の病」へとスティグマ化されたか
第4章 「精神療法」と歴史的感受性―二〇世紀日本のうつ病
第5章 鬱、ジェンダー、回復1―男性と「諦観の哲学」
第6章 鬱、ジェンダー、回復2―女性はうつ病をどのように経験してきたか
第7章 「労働科学」の新たな展開―“ストレスの病”と脆弱性再考
第8章 自殺論―労働の病、レジリエンス、健康への意志
第9章 ローカル・サイエンス、グローバル・サイエンス

著者等紹介

北中淳子[キタナカジュンコ]
慶應義塾大学文学部人間科学専攻准教授。Ph.D.(医療人類学)。1993年上智大学文学部心理学科卒。1995年シカゴ大学M.A.(社会科学)、2006年マッギル大学人類学部医療社会研究学部博士課程修了。慶應義塾大学文学部人間科学専攻助手等を経て、2008年より現職。主著にDepression in Japan:Psychiatric Cures for a Society in Distress.Princeton universitypress,2011(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

83
うつ病を医療人類学からひも解く本。うつが医療でどう扱われてきたのかという歴史に始まり、うつのジェンダー差や労働科学の視点から、社会的なストレスの病として位置づけられた“医療のうつ化”への深い洞察がある。それは、「過労自殺の裁判を通じて、うつ病概念が『ストレスの病』として世間に広く認知され、個人(のバイオロジカルな問題)を超えた社会的病として捉えられたことが、日本において、うつと自殺の医療化を促進することにつながった」という指摘だ。ここには、うつ=ストレスという単純化されたうつ病観に再考を促すものがある。2023/11/30

タナカ電子出版

27
物語以外の本を大きく3つに分類するなら✨体験本 分析本 信念本 と私はタイプ分類していつも本を読んでいる📚この本は現代世界を医療 公衆衛生的視点からの 分析本です。分析本の特徴とは…主観的 データ統計的に片よるため 解答なし 注意を促すにとどまります。このような本はインテリア医学マニアにおすすめしたいと思います。🧠2019/05/26

ステビア

13
精神医学における社会・文化的要因の重要さ。2017/03/12

pinoo

12
面白かった。かつては日本でも鬱の診断が異常者の烙印を意味し社会的に排除されたが、今は異常というよりは「誰でもかかるストレスの病」、また「社会病理」等と捉えられている。本著では、文献資料の整理と参与観察に基づく記述によって、鬱を巡る言説が人文⇔社会⇔医学的領域での議論を行き来しながら形成された過程が明快に論じられる。精神疾患はその「原因」を特定するのも困難、現在鬱は「社会因」の方に注目が傾いているが、より本人の「主体性」に注目するCBT等の療法やレジリエンス概念の拡大によって今後どう変化していくだろうか。2017/05/11

とん

5
鬱が個人の素質なのか環境要因なのか、線引きが難しいことは感じていた。電通事件によって過労死ラインが設けられたが、これは素晴らしい進歩であることが本書を読めばわかる。しかし、依然として鬱をもたらす環境改善には厳しさを感じる。抗うつ薬の広まりで鬱が生理学的な現象とされがちだが、環境要因の検討と整備は続けていかなくてはならないと思う。2017/05/23

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