出版社内容情報
「ゆらぎ」という基本的な自然現象を通して、カシミール効果の物理学的基礎から技術応用までを、簡潔かつ丁寧に解説する。
真空に平行な金属板を十ナノメートル程度の間隔で置くと、金属板の間に一気圧ほどの引力が働きます。これが量子ゆらぎによって引き起こされる「カシミール効果」です。カシミール力はゆらぐ電磁場の境界条件を上手に制御することで、斥力にもなります。機能発現の宝庫であるカシミール効果が実験により立証されて20年が経ち、半永久的な寿命をもち電力をほとんど消費しないモータやアクチュエータ、ナノニュートン程度の極めて微弱な力を精度よく測る高感度力センサーなどを扱うマイクロ・ナノマシンやナノフォトニクスなどへの応用が、欧米を中心に盛んに研究されています。本書では基本的な自然現象である「ゆらぎ」を通して、カシミール効果の物理学的基礎から技術応用までを、簡潔かつ丁寧に解説します。
内容説明
次世代ナノメカニクスの基礎理論を知りたいあなたへ。カシミール‐リフシッツ力が主役を演じるカシミール物理の理論的基礎から技術応用を簡潔かつ丁寧に解説します。
目次
第1章 ゆらぎと応答
第2章 ゆらぎを通して物理の本質がみえる
第3章 量子ゆらぎを通して物理現象を理解する
第4章 電磁ゆらぎを源とするカシミール効果
第5章 カシミール効果の発見からリフシッツ理論へ
第6章 連続体力学の視点からみたリフシッツ理論
第7章 カシミール‐リフシッツ力の数値解法
第8章 カシミール‐リフシッツ力の実験と技術応用
著者等紹介
岡田勘三[オカダカンゾウ]
1951年、岡山生まれ。1974年、アメリカ・オレゴン州立大学理学部物理学科卒業。1981年、同大学院理学部数学科博士課程修了(PhD)。ソニー(株)でデータ・ストレージ技術を中心にコンスーマー・エレクトロニクスのR&Dに従事した後、シンガポールA*STARデータ・ストレージ研究所シニア・サイエンティストを経て、2012~16年、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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