内容説明
位相(空間)は実数や空間の点や部分集合の相互関係を対象とする分野で、集合や代数系の概念とともに数学の基盤となっている。一方論理はギリシャ時代からの長い歴史をもつ学問であり、20世紀には数理論理学として目覚ましい発展を遂げた。この本はこの2つの一見異なる分野が実は密接につながっていることを予備知識を仮定せずに述べることを目的にしている。
目次
1 順序と束
2 命題論理とブール代数
3 構造とモデル
4 ブール代数の表現定理
5 フレーム
6 カテゴリー
著者等紹介
田中俊一[タナカシュンイチ]
1938年徳島県に生まれる。1961年京都大学を卒業。1964年京都大学大学院博士課程中退。理学博士。現在九州大学大学院数理学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
liquor
1
位相空間、論理、順序集合、束、圏といった数学の基礎概念たちが面白く絡み合っていることがわかる本です。命題論理に対するLindenbaum代数に束論や位相空間論を適用して完全性定理やコンパクト性定理を示す件は鮮やか。後半はStone双対およびフレームの圏と位相空間の圏の随伴が目標で、普段代数的な圏しか扱わない身としてはよい勉強でした(specにZariski位相を入れていて代数幾何かと)。ただ全体的に記述が雑でやや読みづらいのが残念。折角Heyting代数が出てきたので直観主義論理にも触れてほしかった。2019/03/24
m0h1can
0
この分野の邦書が少い中、本書は現代的な記述がされているので貴重だが、話が荒い為あくまでガイドにしかならない。各章末の文献に接続すると良いかと思われる。ちなみに基礎的な定理と証明は書かれているのでハンドブックとしては使える。2009/02/26