内容説明
野付牛中(北見北斗高)、旧制四高、京大、野戦重砲第12連隊。そしてルソン戦場の極限状況においても、一貫して「人間」でありつづけようとした久田栄正(北海道教育大学名誉教授)の姿を、朝鮮戦争後生まれの若い憲法研究者が、証言と資料で跡づけ「体験」が平和的生存権論に結実するまでを描く。
目次
プロローグ 「戦争を知らない子供たち」の世代から
1 一貫した反軍精神
2 軍隊の内務班生活―人間改造への抵抗
3 「満洲」へ―経理部将校となる
4 「ルソン決戦」への道程
5 米軍リンガエン湾に上陸
6 退却行はじまる
7 「人間廃業」の戦場
8 日本軍隊の崩壊―降伏
9 捕虜収容所における「憲法論争」
エピローグ 平和憲法に生きて(戦争体験の活かし方;中曽根首相の戦争体験;戦争体験と日本国憲法;戦場体験から生み出された平和的生存権)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hal
1
読書メーターの皆さんの誰も読んでいないってどうなんだ?確かにシブイ本だったけれど。憲法学者である著者が、主計将校という立場も“利用”して、クールに、意識的に、(勿論強固な意志を持って)日本陸軍にフィットせずにフィリピンルソン島での戦争を生き延びたかを、学問上の弟子のインタビューに答えるかたちで語る。弟子はインタビュワーであると同時に、戦史を繙いて著者の足跡を確認していく。途中卑怯な上官への強い反感は述べられたりするが、全体を通じて二人の語り口は冷静である。続きはコメントで。2013/12/05