出版社内容情報
『虎に翼』で話題の家庭裁判所では、令和の今、どんなことが起きているのか。現役家裁調査官が現場のリアルを生き生きと伝える。
内容説明
本書は、『こころの科学』181~194号の「こころの現場から」、同216号の特別企画エッセイ、Web日本評論の連載「ただいま調査中!家庭裁判所事件案内」(2023.10~2024.9)を再構成し、加筆修正のうえ、書籍化したものです。
目次
第1部 森の入口―夫婦・親子に関する事件(1)(なぜ家事と少年なのか;交換日記―夫婦関係調整 ほか)
第2部 にぎやかな森―少年事件(トカゲの尻尾―特殊詐欺;沼―大麻取締法違反 ほか)
第3部 森の中の小川―民法、戸籍法、特別法に関わる審判事件(シンデレラ―特別養子縁組;バースデーケーキ―就籍 ほか)
第4部 森の深奥―夫婦・親子に関する事件(2)(クモの巣―子の監護者の指定、引渡し;地雷―夫婦関係調整 ほか)
著者等紹介
高島聡子[タカシマサトコ]
神戸家庭裁判所姫路支部総括主任家庭裁判所調査官。1969年生まれ。大阪大学法学部法学科卒業。名古屋家裁、福岡家裁小倉支部、大阪家裁、東京家裁、神戸家裁伊丹支部、京都家裁、広島家裁などの勤務を経て2023年から現職。現在は少年、家事事件双方を兼務で担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てくてく
7
『こころの科学』連載などに掲載されたコラムやエッセイ+家庭裁判所に関わる人や組織などの解説の書下ろし。最近は司法を支える人も人手不足に警戒したためか、業務説明会やイベントが増えたが、こちらは家裁や家裁調査官に少しでも関心を持つ学生に勧めたく一冊。家庭裁判所が関わることになった思として子どもの状況を「森」を歩いている状態と表現し、調査官はその傍らを歩く人であると位置づけている点も好ましく、当事者のより良い選択を支援する諸活動をエピソード化したそれぞれの話を一気に読んだ。2024/12/27
ソーシャ
7
現役の家裁調査官の著者が、いくつもの架空事例をもとに仕事の中で考えたことや思ったことを綴った一冊。家事事件も少年事件もよくある事件の特徴をもとに作っているだけあって、「こういう家庭あるよね」ととても興味深く読めました。調査官がどうやって事件にアプローチしていくかが書かれている点も、とても参考になりました。2024/12/15
おさと
6
人が生きていたらいろんなことが起こるんだな…とは思うけれど、子どもが無碍にされているのは大人の勝手すぎてつらい。2024/12/28
yunyon
6
良い本だった。本だと世間に広く広まらないから、漫画でもドラマ化でもして、世間に広く広めて、本当に今現在の虐待・非行・離婚・DV・相続・介護などなど、悩んで困っている人に、家裁の姿が届いてほしい。事件になる前、尊い命が失われたり、誰かの大事な人生が壊れてしまう前に、家裁がその命綱として機能することができ、話を聞くことを仕事としている調査官がいることを知ってほしい。主人公に伊藤沙莉さん、若手調査官に芦田愛菜さんとかで、ドラマ化だめかな~(『寅に翼』感が強すぎ?)脚本クドカンで笑いもありで!2024/12/18
トト
5
家庭裁判所調査官が書くエッセイ。守秘義務のために、実際の事件をもとに修正しながら作ったエピソードは、作者曰く、読者が期待するような面白い展開もなくつまらない、ということがない興味深い話でいっぱいでした。夫婦間のいわゆる離婚調停等の家事事件、未成年を対象とした少年事件、児童虐待や養子縁組等の審判事件、など多岐にわたるが、全ては子供のため、またその親のため、ベターな選択が出来るよう手助けする。割と綺麗に纏まったエピソードが多かったが、実際はもっと色々ありそう。家庭裁判所のことを知れる一冊です。2024/12/06