出版社内容情報
人間に何かが憑依し様々な行動を引き起こす憑きもの現象。森田正馬により概念化された祈?性精神病の展開と広がりを追う。
内容説明
狐憑き、犬神憑き―人間に何かが乗り移り、様々な行動を引き起こす「憑きもの」現象を精神医学の立場から概念化した祈祷性精神病。今は隠れた森田正馬の業績をたどり、その可能性を探る。
目次
第1部 祈祷性精神病の成立(祈祷性精神病とはどんなことか;森田以前の憑きものの調査・研究;森田の「土佐の犬神憑き」調査;祈祷性精神病の提唱;森田と催眠)
第2部 祈祷性精神病の展開(森田以降の祈祷性精神病;日本における憑依研究;人格変換と変性意識状態;トランスと「やまい」・「いやし」;祈祷性精神病概念の進展;まとめ)
著者等紹介
大宮司信[ダイグウジマコト]
神奈川県生まれ。1970年3月北海道大学医学部卒業、同精神医学教室に入る。実地臨床を経て教室に戻り、脳内ノルアドレナリン合成酵素に関する実験的研究で医学博士号を取得。アメリカシカゴ大学医学部精神医学教室H.メルツァー教授のもとで准教授としてα2アドレナリン受容体を用いた基礎的・臨床的研究に従事、帰国後北大医学部保健学科に勤務、同教授として2008年3月に定年退職し、北海道大学名誉教授。同4月北翔大学教育文化学部教授。現在の専門領域は精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐倉
6
森田療法の提唱者、森田正馬が犬神憑きなどの憑依現象を科学的な症状として定義したのが祈祷性精神病。第一部は森田がこの名前をどう付けたのか、明治から大正における催眠術に関する状況、同時期の福来友吉との比較などが題材。第二部は現代にいたるまでの間に収集された症例や人類学の知見と合わせて祈祷や変性意識と言ったものをどう捉えるかを書いていく。第9章ではカール・ロジャースが治療中に感じたトランス感覚の例を引き、それを寄りましと審神者の関係に結び付ける一節が興味深い。健常意識と変性意識を使い分ける存在としての審神者。2023/05/22
さとし
1
憑依状態は「やまい」だけでなく「いやし」にもなるという。Rogersのプレゼンスと神田橋の離魂融合について言及されていた。2023/05/08