少年たちの贖罪―罪を背負って生きる

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  • サイズ B6判/ページ数 246p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784535563353
  • NDC分類 327.85
  • Cコード C3011

出版社内容情報

重大事件を犯してしまった少年は、事件後、何を思い、罪の重さをどう受け止めるのか。医療少年院の精神科医がみた彼らの姿とは。

1 加害者にかかわるということ

  はじめに  
  贖罪について考えること  
  治療同盟  
  ある手紙  
  親子であること  

2 ささやかな贖罪意識

  贖罪教育  
  祈る像  
  あかぎれの手  
  誰のための贖罪か  

3 加害者の負うPTSD

  事 件  
  事件の背景  
  加害者であり、被害者であること  
  治療経過  

4 僕たちのロード──家族への想い

  訃 報  
  義父との対話  
  高校時代  
  少年院入所  
  母親像を超えて  
  謝罪の手紙  
  保護者会  

5 事件への長い道のり──いきなり型非行と呼ばれた少年

  壊れた日常  
  成育歴  
  語れなかった想い  
  いきなり型非行  
  誰かに話せていたら  
  地元に帰るということ  

6 重大事件を背負って施設で暮らすということ

  仮面をかぶって  
  社会話  
  事件を隠しての生活  
  施設の生活の始まり  
  集団生活への導入  
  社会につながるための嘘  

7 別の感覚をもつ「広汎性発達障害」の少年たち

  被害者に謝りようがない  
  贖罪のかたち  
  事 件  
  なぜ人を殺してはいけないか  
  ルールづくり  
  事件という窓  

8 覚せい剤という名の地獄

  葉 書  
  成育歴  
  家族の崩壊  
  薬物使用にはまって  
  施設生活  
  薬物依存者の性格特徴  
  事 件  
  退 所  

9 加害者家族は加害者か

  果たせなかった面会  
  逮 捕  
  加害者の同胞であること  
  加害少年からみた家族  
  加害者の親として  
  加害者の同胞として  

10 罪の重さと刑の重さ

  罪の重さを量る  
  施設送致について  
  社会感情  
  遺族感情  
  養老律令以来の刑罰の思想  
  進 級  

11 いじめられ体験がもたらしたもの

  団結力  
  母親の回想  
  いじめの経緯  
  いじめられるということ  
  事 件  

12 母性という神話を求めて

  一三歳の母親  
  母親の罪責感がつくりだしたうつ  
  「私はただの育児放棄です」  
  わが子を亡くした母親の記憶  
  母であること、子であること  

13 弱者の犯罪

  避難訓練  
  不登校となって  
  事 件  
  亡き父への思い  
  弱者の犯罪  

14 性の代償

  検査結果の告知  
  成育歴  
  性への誘い  
  感 染  
  男性に求めたもの  
  命は金で買える  

15 異国の塀の中で

  初 診  
  故国を捨てて  
  日本という異国  
  顔のない人  
  記念日うつ病  

16 誠意を示すということ

  ある初診患者  
  事故の責任  
  損害賠償の重み  
  治療経過  
  急逝した甥のこと  
  誠意とは何か  

17 罪を背負って社会で生きていくこと

  「夢」を見た少年たち  
  施設退所  
  退所への道のり  
  どこに退所するか  
  社会の中で生きる  


  あとがき

【著者紹介】
国立きぬ川学院・精神科医

内容説明

彼はなぜ、重大犯罪の加害者となってしまったのか。加害少年たちは事件後、何を想い、罪の重さをどう受け止めるのか。長年寄り添う精神科医にみせた彼らの素顔とは―精神科医がみた加害少年たちの素顔。

目次

加害者にかかわるということ
ささやかな贖罪意識
加害者の負うPTSD
僕たちのロード―家族への想い
事件への長い道のり―いきなり型非行と呼ばれた少年
重大事件を背負って施設で暮らすということ
別の感覚をもつ「広汎性発達障害」の少年たち
覚せい剤という名の地獄
加害者家族は加害者か
罪の重さと刑の重さ
いじめられ体験がもたらしたもの
母性という神話を求めて
弱者の犯罪
性の代償
異国の塀の中で
誠意を示すということ
罪を背負って社会で生きていくこと

著者等紹介

青島多津子[アオシマタズコ]
埼玉大学理工学部数学科、筑波大学医学専門学群、筑波大学大学院医学研究科博士課程卒業。精神科医。青年海外協力隊(マラウィ国・トンガ王国)、関東医療少年院、府中刑務所、JICA国際協力機構などを経て、現職は児童自立支援施設国立きぬ川学院非常勤医師、リラ溝口病院常勤医師、江戸川大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ころりんぱ

48
著者は加害者と関わりが深い精神科医で、罪を犯した少年側に立って書かれたもの。重大な事件を起こした少年が、更生施設で日々をどう過ごし、やってしまった事にどう向き合ってその後の自分の生活を送るのか、様々な例をあげている。正直、被害者の気持ちを切り離して考えないとこの本に共感しつつ読むことは出来ない。色んな事情や突発的な感情の爆発が重なって事件を起こしてしまったことも考えながら彼らに寄り添うつもりで更生や贖罪について考えたけど、命を奪ってしまったら、やっぱり取り返しがつかないんだと思う…ここで思考停止。難しい。2014/06/22

ゆみねこ

47
犯罪を犯した少年を精神科の医師としてサポートする女性の著作。とかく手厚く保護されていて、人権が守られていると批判を受ける立場の加害少年たち。彼らが何故犯罪を犯したのか、家庭環境や発達障害など同乗される部分も多いとは思いました。しかし、被害者たちの望みは「原状回復」。相手の命を奪った場合はそれは叶わないこと。被害者のみならず加害者の家庭も大きく傷ついてしまうと言う現実。読んでいて、辛くやり切れない気分になりました。贖罪、重い言葉です。2014/07/23

らむり

44
重大犯罪被害者を思いやることはあっても、加害者のその後を思いやることはあまりないと思います。加害者の悩み・苦しみノンフィクションです。「13歳の母」は衝撃でした。2014/04/09

オリーブ

14
犯罪を犯した少年の矯正施設での様子を彼らと接している実際の専門家の立場で正直に綴られていた。マスコミなどで報道される彼らの動機の軽さに驚くばかりだったが彼らが犯罪にたどり着くまでの事情を知るとそうなる前に多くのSOSが発せられていた場合が多く、気づけなかった私たちにも責任の一端はある気がした。誰か憎む対象を探して糾弾する世間では彼らが罪の意識を持って真の贖罪を果たしていくのは難しいと思う。著者のように専門家の立場で被害者の苦しみを伝えられるような真剣に寄り添う人が彼らには必要なんだと思う。2014/08/24

ゆっころ

11
映画「少年たち」の参考文献として紹介されていて興味を持ったので読んでみたのだけれど想像以上に重い本でした。犯罪を犯した少年たちは虐待やいじめの被害者であることも多く、誰しも事件を起こしてしまう可能性がある。はたして自分の子が絶対に加害者側にならないと言いきれるだろうかとモヤモヤ…。出所後、贖罪の意識を持たせつつ社会に適応させることはとても難しいけれど社会で共有し考えていかなければいけない課題と思った。読んでて気持ちのいい本ではないけれどこのような現状が知れて良かった。2019/05/01

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