内容説明
思春期の問題は入口がいくつもあって、出口がひとつしかない迷路だ。「ニート」から「うつ病」まで精神医学の難点を成熟とサブカルチャーを軸に解きほぐす。
目次
終わらない思春期―対人関係の欠落がいかに「成熟」を阻害するか
サブカルチャーとともに大人になること
「ニート」など存在しない
「おたく」であることの困難と希望
サブカルチャーとボーダーライン
メディアとペドフィリア―ロリコン文化はいかに消費されたか
パラサイト・シングル
「追っかけ」と自罰パラノイア
持続のために叱る、ということ
なぜ「精神分析」か?
「解離とはなにか」とはなにか
「再帰性うつ病」の時代
「心のカゼ」と操作主義
隠喩的病因論と分裂性分析
著者等紹介
斎藤環[サイトウタマキ]
1961年岩手県生まれ。筑波大学医学研究科博士課程卒業。医学博士。現在、爽風会佐々木病院精神科医長。専門は思春期精神医学、病跡学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masmt
9
最近は茂木さんとの往復書簡で認知度上昇中(?)の斎藤環の精神医学周辺のエッセイや論文がまとまった本。治療関係と「叱る」ことについて書かれた文章が面白い。あまり語られたことのない斎藤環の治療における「叱る」テクニック。その他、ニート、パラサイト・シングル、東浩紀批判、再帰性うつ病、操作主義など。斎藤環の文章にはいつも何か新しいアイディアが埋め込まれている。読んでてワクワクする。2010/05/25
shiorist
4
ガンダムから始まってガダリの分裂分析で終わる。途中にエヴァ,ホリエモン,東浩紀,ロリコン,押しかけ厨,などなど気になるネタがふんだんに。治療者の倫理性向上に資するという理由で精神病理学を擁護する立場。2010/07/08
4fdo4
1
ジャケット買いしてみました うーん。サブカルチャーは興味があまりないです 精神科医が本気でガンダムとエヴァンゲリオンの違いや 社会的インパクトの違いなど述べているのはともかく ロリ、ショタ、ペドの違いまで説明してくれる。 かんたんに読めるというよりも、ちょっと専門書チックな ディープな一冊2010/06/13
まいこ
1
うつ病のあらわれ方が、時代の変遷とともに変わってきていることの考察がとても面白かった。旧来のメランコリー親和型は、勤勉で几帳面で真面目であることによって高度経済成長を支えつつ、燃え尽きて病んでいく人だった。一方、大きな物語が終わった現代においては、目標や価値といったものが見えなくなり、うつのあらわれかたもまた気分や状況に依存するようになったのかも。2014/04/06
ことぶき あきら
0
『こころの科学』等の雑誌に掲載された著者の論文・エッセイなどをまとめたもの。難しかった。あとがきでの著者自身の解説がありがたかった。東浩紀による精神分析批判への、再批判なんかも書かれてます。2012/10/27