内容説明
効率性と公平性はしばしば主役と敵役を入れ替わり、せめぎあう。幕によっては、いずれかが脇役に徹することもある。この二人の役者を経済学という脚本家がどのように立ち振る舞わせているか。
目次
第1章 効率性と公平性(経済学はなぜ嫌われるのか;効率性と公平性をどうバランスさせるか ほか)
第2章 公平性の受け止め方(経済学だけで公平性は語れるか;人々は格差をどう受け止めるのか ほか)
第3章 日本の再分配の問題点(再分配政策は機能しているか;なぜ低所得層ほど高負担なのか ほか)
第4章 効率性と公平性から見た教育(経済学は教育をどうとらえるか;教育に市場原理は導入できるか ほか)
第5章 世代間のゼロサム・ゲーム(世代間格差はなぜ問題なのか;経済学者の年金改革論はなぜ批判されるのか ほか)
著者等紹介
小塩隆士[オシオタカシ]
1960年生まれ。1983年、東京大学教養学部教養学科卒業。経済企画庁(現内閣府)等を経て、2009年より一橋大学経済研究所教授。大阪大学博士(国際公共政策)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
30
公平性と効率性を合わせて議論できる社会科学としての経済学に惹かれる著者。12年刊。◉1章。制度変更が人々のインセンティブに影響を与えるので、公平・効率はトレードオフ。大きな政府と小さな政府のどちらを選択するか、に置き換えて考えると、日本は明らかに小さな政府(国民の要望は拮抗している)◉ところが我々は、政府純債務にみるとおり「給付は多め、負担は少なめという都合のいい選択をしてきた」「言い換えると、効率性と公平性のバランスをどうとるかという問題を真剣に考えてこなかった」。ではどうバランスさせるか。以下次章へ。2022/05/24
fu
25
教育というと学校教育に目がむきがちであるが、生きる力の習得には学校よりも家庭の役割の方が圧倒的に重要、という事実。親、家庭によりその後の人生はかなりの程度規定される。データによれば、貧困家庭で育つと最終学歴が低く、所得も高くならないのみならず、幸福感にも影響を及ぼし、また健康的な生活を送ることも難しくなる。日本における子どもの貧困問題は他の先進国と比べて深刻。日本の所得再分配を見直すとすれば、子どもの貧困解消が最初に着手すべき問題。2015/08/29
テツ
18
経済に関する知識なんて皆無なぼく(たち)は経済というものは効率だけを重視して動いているんだろうと思い込みがちだけれど実際は効率と公平とを均等に考えているということ。筆者は本著の中で社会保障についての効率と公平を教えてくれる。貧困家庭に生まれた瞬間に学歴も所得も伸ばすことが難しくなり、更には幸福度まで低いまま成長していくということは言われてみれば確かになあと思います。所得再配分は若者から老人への流れではなく、若者から若者への流れにしなければ。社会のシステムを再構築することは難しい。2020/05/17
タカオ
7
経済学は、効率第一で考えているように思われがちだが、じつはそれと同時に公平性も重視している。この本では、ざっくり言えば、現状の所得再分配と教育について、公平性に重心を置きつつ効率性も考えながら理論を展開している。分析するために使用したデータや統計手法はしっかり示しながら、専門的になりすぎることもなく、ちょうどいい塩梅で一般向け提言書となっている。以下、印象に残った一言。時間と労力をかけて分析を行った結果 「要するに、成績を上げるためには授業時間を長くすればよい」…やはりそれが真理ということか。2016/06/27
あおいとり。
3
所得再分配が世代間に偏り過ぎて、世代内では不十分と言う指摘が鋭すぎて衝撃を受けた。税と社会保障の関係や教育における所得格差による影響など経済学部に所属しながらあまりにも社会に疎かったと反省させられた。「年齢構成が逆ピラミッド型になった生物は絶滅する運命にある」誠に深い言葉である。2015/02/19




