内容説明
日本経済にとっての「失われた10年」は、日本の金融市場にとっては混乱から大変革にいたる激動の10年であった。金融制度の抜本的変革の流れは3本あった。しかし、この3本の流れが相互にどのように関連し、今後どのような帰趨をたどるのか、いまだ学問的検証はなされていない。バブル崩壊後10年に及ぶデータの蓄積が得られるいまこそ、客観的・実証的分析が求められている。
目次
1 金融と実体経済(わが国の戦間期における銀行取付のマクロ経済分析;誤差修正モデルによる財政・金融政策の計量分析)
2 銀行経営の不安定性(銀行の経営非効率とその要因―銀行破綻、銀行再生政策との関連において;低金利政策下における銀行の経営行動と資産選択;銀行の貸出行動と自己資本比率帰省―業態別貸出伸び率の推移と規制効果との関連性)
3 保険産業の構造改革(わが国保険産業の構造変化;生命保険相互会社の株式会社化について)
4 金融市場の関連(ポートフォリオ調整と株価の国際連関;わが国金融システム不安時におけるクレジット・スプレッドの決定要因)
著者等紹介
林敏彦[ハヤシトシヒコ]
1943年鹿児島県生まれ。1966年京都大学経済学部卒業。1968年大阪大学大学院経済学研究科(修士)、1972年米スタンフォード大学(Ph.D.)。神戸商科大学助教授、大阪大学経済学部教授などを経て、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授
松浦克己[マツウラカツミ]
1951年福岡県生まれ。1975年九州大学法学部卒業、郵政省(当時)入省。大阪大学経済学部助教授、長崎大学経済学部教授を経て、横浜市立大学商学部教授。郵政研究所特別研究官。経済学博士
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