出版社内容情報
「経営上の意思決定に対する労働者の手続的関与を法的にどのように保障すべきか」という課題について、EU法を比較対象とした理論的考察を行う。現在の労働法規制は、雇用の悪化が具体化する段階(例えば、解雇が行われたり、労働条件の不利益変更が行われる段階)で機能することを前提としているが、この段階に至ってしまっては、雇用の悪化そのものの回避は困難である。これに至る前の段階で、雇用悪化の原因となりうる経営上の意思決定に対して、労働者が関与する機会をいかに確保するか。経営関与を労働者の基本権として保障した上で、体系的な制度を設け、それらについての学説・判例の豊富な展開が見られるEU法を比較対象として検討することで、日本法に有益な示唆をもたらす。
目次
第1編 序論(問題の所在;我が国における経営関与をめぐる法的な議論状況;本書の課題と構成)
第2編 EU労働法分野における被用者の経営関与制度(情報提供・協議制度の総説;基本権としての経営関与;特別法1―EU集団的整理解雇指令における被用者関与制度;特別法2―EU企業譲渡指令における被用者関与制度;一般法―欧州労使協議会指令)
第3編 EU会社法分野における被用者の経営関与制度(欧州会社制度の概要;欧州会社における被用者関与制度;欧州会社制度に関する小括)
第4編 日本法への示唆(本書の問題意識と検討課題;EU法上の諸制度の比較分析と我が国に対する示唆)
著者等紹介
岡村優希[オカムラユウキ]
同志社大学法学部法律学科早期卒業、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻博士前期課程及び後期課程修了。博士(法学)。同志社大学法学部特任助手、情報通信総合研究所法制度研究部主任研究員、名古屋市立大学人文社会学部専任講師等を経て、現在、日本電信電話株式会社・NTT社会情報研究所研究員および早稲田大学比較法研究所招聘研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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