出版社内容情報
国境を越えて子を連れて移動することが、欧米各国では態様によって拐取罪(誘拐等)との関係にも問われる。その取り扱いはEU諸国の中でも様々であり、一つのセオリーが確立されている状況ではない。それを踏まえ、本書では欧米各国や台湾などの拐取罪のあり方を比較法的に分析し(第1部)、その成果と日本の現状(判例等)に照らしてのケースワークを行い(第2部)、最後に日本法の地層を探っての沿革的分析と、総合的指針を提示する(第3部)。
内容説明
親による子の拐取という現象に対し、様々に見られる各国の法制度はいかにして成り立っているのか。歴史と比較の観点を踏まえ、解釈の理路を描く。
目次
第1部 拐取罪の比較法・沿革研究(ドイツ刑法における未成年者の子の奪い合いを巡る議論状況;オーストリア刑法における未成年者の引離しを巡る議論状況―両親による子の奪い合い事例を中心に;スイス刑法における未成年の子の奪い合いを巡る議論状況 ほか)
第2部 親による子の「奪い合い」事案と未成年者拐取罪(未成年者略取及び誘拐罪の法益について;監護権の重要性―比較法的視座から;自由および身体の安全という各法益について ほか)
第3部 日本法の地層分析―積み重なる歴史と解釈(日本法の地層―拐取罪を巡る(裁)判例および学説の各状況の粗描
親による未成年の子の奪い合いと拐取罪の成否を巡る諸問題―日本法の新たな地層
面会交流悪用事案の分析に基づく拐取罪の構造分析―続・日本法の新たな地層 ほか)
著者等紹介
深町晋也[フカマチシンヤ]
立教大学法学部教授
樋口亮介[ヒグチリョウスケ]
東京大学大学院法学政治学研究科教授
石綿はる美[イシワタハルミ]
一橋大学大学院法学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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