目次
序章 多元化する社会における憲法学
第1章 合衆国における憲法解釈方法論の展開と動揺
第2章 修正14条解釈における原意主義
第3章 修正9条解釈における原意主義
第4章 憲法解釈方法論の再構成
終章 揺らぎのなかにある憲法学
著者等紹介
大河内美紀[オオコウチミノリ]
1997年名古屋大学法学部卒業。2002年名古屋大学大学院法学研究科(博士課程後期課程)単位取得退学。2004年新潟大学法学部助教授。現職:名古屋大学大学院法学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
4
「合衆国においては…「近代批判」がクワインらによってもたらされた言語分析の手法によって極めて先鋭に展開されていることが特徴的である。その中でも、とりわけ法学の分野で大きな影響を与えているのが、トマス・クーンを嚆矢として提起された「通約不可能性」概念である。この通約不可能性テーゼは、異なるパラダイム間においてはその優劣を比較する尺度が存在しないことを指摘するものであり、この議論には憲法解釈方法論にも大きなインパクトを与えている。従来の憲法解釈は…暗黙の内に価値のコンセンサスが存在することを前提にしてきた」2017/04/29
わんぱら
0
アメリカにおける原意主義を紹介する本。筆者による分析は、アメリカの論者が既に意識している部分に関する内在的なものに留まり、原意主義自体の正当性そのものを問い直すに至っていないようだ。 リーガルリアリズムや価値の通約不可能性が明らかにした原意主義の限界を指摘しつつも、それらへの対応は、これまでの議論における「共通の基盤」に基づくという微温的な対応。共通の基盤自体が問い直されるべきことを自ら指摘しておきながら、十分な救済策もなく、それに頼るのは矛盾と言われても仕方ないだろう。2016/05/15