内容説明
裁判員時代にあらためて死刑を問う。
目次
プロローグ
第1章 おいたちから事件まで
第2章 一審「死刑」
第3章 二審「無期懲役」
第4章 再び、「死刑」
第5章 「永山基準」とは何か
エピローグ
著者等紹介
堀川惠子[ホリカワケイコ]
1969年広島県生まれ。広島テレビ放送にて報道記者、ディレクターを兼務。2004年、同報道部デスクを最後に退社、現在はフリーのドキュメンタリーディレクター。主な制作番組として、『ニッポンの筆世界に挑む』(日本テレビ、2003年ギャラクシー賞選奨、民間放送連盟賞優秀賞)、『チンチン電車と女学生』(日本テレビ、2003年放送文化基金賞、民間放送連盟賞最優秀賞)、『ヒロシマ・戦禍の恋文』(NHK、2005年ATP賞ドキュメンタリー優秀賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
310
1964年、米軍基地から盗んだ拳銃による4件の連続射殺事件。犯人は永山則夫19歳(当時)。翌69年4月逮捕。その後、永山は獄中で猛勉強し、『無知の涙』を出版。やがて裁判が始まる。一審、東京地裁・無罪。二審、東京高裁・無期懲役。検察が異例の上告をし、最高裁で差し戻しの裁結。事実上の死刑が確定。その後、この時の高裁で示された基準が「永山基準」と呼ばれるようになる。死刑と無期懲役とを分けた最も大きな争点は永山の情状の扱いにあったのではないか。永山は極貧に育ち、社会的支援も得られなかった。また、従来は⇒2023/05/18
どんぐり
71
永山則夫の死刑判決に至った裁判を辿ったノンフィクション。一審「死刑」、二審「無期懲役」、最高裁で再び「死刑」を言い渡された永山裁判、最高裁判決が遺した「永山基準」を追った労作である。この「永山基準」と呼ばれるものは、判決文にある「犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性・残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状」という9つの要素。最高裁判決の基本とする理念は「原則は死刑不適用」であり、「例外が死刑」で特に酌量すべき事情がない限り死2016/07/11
おいしゃん
58
【講談社ノンフィクション賞作品】4人を拳銃で殺害し、死刑判決を受けた永山裁判。のちに死刑の基準ともなるこの裁判は、一旦無期懲役になりもしたが、その間永山被告は一体どう考えを変え、世間はどう受け止めたのか。非常に興味深い内容だった。巻末に一覧表ができるほど、誤字脱字・誤植のオンパレードだったのが残念。2017/08/17
ころりんぱ
53
永山則夫は一審で死刑判決を受けたあと、ミミという女性と結婚していたそうです。ごくたまに聞く、獄中結婚。殺人犯と結婚?ってわざわざ何で?って理解できなかったから、著者が直接その女性に会って取材した部分はとても興味深かったです。結局、二審で無期懲役、最高裁で差し戻され、死刑が確定するんですが…うーん、とにかく「死刑」についてどう考えたらいいのか、ますますわからなくなりました。人が人を裁くことの限界を感じたというか…うーん。でもやっと「永山基準」と言われるもののルーツは知ることが出来たと思います。2016/02/03
ちゃんみー
27
死刑の基準について深く考えるようになったのは、光市母子殺害事件からだと思う。それは被害者家族である本村さんの発言がとても考えさせるものだったからかもしれない。少年法とか、一人殺害なら無期懲役で二人なら死刑とか。その原点になったのは、永山則夫の裁判だったことは知っていても詳しいことはわからなく、今頃になって読んでみました。著者は「人を処刑する画一的な基準はありえない」と結論づけている。まさにそうだと考えますが、一方被害者感情はどうなんだろうということもあり、相変わらず自分の考えは持てずにいます。2021/03/24