内容説明
本書には電車の形式の説明は勿論、その電車が走り始めた頃の環境や時代背景が描かれ、若い君たちの知らないことが多い。それに還暦過ぎのオジさんの文章だからなかなか味がある。学校を出てテレビ局に勤め、映画監督になった著者の表現力はさすが。
目次
第1の扉 わたしの名車たち(戦後世代のパイオニア・営団300系;開運号は颯爽と・京成1600系;煌めく流れ星・東武『猫鬚』・1700系 ほか)
第2の扉 聖地巡礼(不死鳥C62;アプト仕掛けのゆめ;『ワイドビューしなの』、木曽谷に挑む ほか)
第3の扉 宝庫よ、永遠なれ(宝庫よ、永遠なれ・JR東日本大井工場;甲州街道ターミナルのおもかげは・京王線新宿旧線;光と影が戯れる廃線跡の遊歩道散歩・中央線競技場線・下河原線 ほか)
著者等紹介
実相寺昭雄[ジッソウジアキオ]
1937年東京生まれ。映画監督。作家。早稲田大学文学部仏文科卒業後、KRTV(現・TBS)入社。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「レモンのような女」など手がけた番組は多数。69年『宵闇せまれば』で映画監督デビュー。『帝都物語』『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』などの作品がある。現在、東京芸術大学演奏芸術センター教授
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感想・レビュー
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keroppi
31
「実相寺昭雄 才気の伽藍」に、この本のことが書かれていて、近くの図書館にあったので借りてみた。ほんとに電車が好きだったんだ。電車の前で記念撮影する実相寺さんの姿が少年のよう。今は無き電車の話が一杯。合間に、撮影時のエピソードもちらほら。「ゴジラ」に襲われた電車は、EF58というんだ。「シン・ゴジラ」の電車がゴジラを攻撃するクライマックスを実相寺さんが見たら何て言っただろう?2017/04/27
梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」
9
初代ウルトラマンの監督として有名な著者が電車愛を語り尽くす。特に車両に関する知識は並ではない。映像の人だけあって、デザインの印象を多く語る。「1700系は、戦後の夜空に煌めいた流れ星のような感じがする」、「湘南電車は、天から舞い降りた夢の結晶としか思えなかった」、(国鉄モハ32系)「乗っている海軍士官たちも凛然としていたが、電車の様子も端麗で凛然としていた。関東では、これ以上に端然とした電子には、当時お目に掛かれなかった」等詩的な表現は秀逸。鉄道のことをこれほど美しい日本語で表現した本を読んだことはない。2021/01/28
Hiroki Nishizumi
3
実相寺監督がこんなに電車オタク、もとい電車を愛していたとは知らなかった・・・2013/03/14
namoken
2
昭和初期の私鉄電車への愛に溢れた本。途中で前触れなくSF小噺が始まってびっくりしたよ。2012/04/29
たけぽん
2
驚くほど電車の事ばかり書いてあるので、映画とか特撮方面の話はちょっとだけです。タイトルそのまま電車少年向け。