アフター・メルケル―「最強」の次にあるもの

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アフター・メルケル―「最強」の次にあるもの

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  • サイズ 46判/ページ数 289p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532359096
  • NDC分類 312.34
  • Cコード C0033

出版社内容情報

16年にわたる「女帝」の政治がもたらした「果実」と「負債」。
世界が混迷を深めるなか、“欧州の巨人"はどこに向かうのか?
そして日本は何を学ぶのか?

リーマンショック、欧州債務危機、その後の強力な経済成長、パンデミック危機……これらの期間(同国史上最長の16年)を通じドイツを率いたアンゲラ・メルケル首相。大きな危機をたびたび「食う」ことで地盤を固めてきた「女帝」とも「鉄の女」とも称される彼女は、EUやユーロ圏の礎を築いた政治家の1人であり、世界の政治史に名を残す傑物といえる。そのメルケルがいよいよ政治の世界を去る。首相在任中にドイツは「病人」と呼ばれた状況から復活し、経済は際立った安定を実現、域内での政治的発言力ではフランスを突き放した。だが「強いにもかかわらず他者のことを考えない」姿ばかりが注目され、尊敬や信頼を勝ち得たわけではない。域内には不公平感が募り、亀裂が生じていったのだ。
では、次のリーダーはこうした亀裂を癒していけるのか? そのリーダーを決める2021年9月の総選挙は二大政党の激しい接戦となり、2021年11月、ようやく連立新政権が発足したが、その先の展望は難しい。
本書は、日本を代表するマーケット・エコノミストの1人で、欧州に対する造詣の深い筆者が、メルケル引退をEU史における1つの節目と捉え、過去を総括し、現状を整理した上で、未来を展望するもの。「欧州の病人」と呼ばれたシュレーダー政権は抜本的な改革により、次のメルケル政権にしっかりその果実を引き渡した。では、メルケル政権は次の時代に向けて何らかの果実を残せたのか。それとも残ったのは負債だったのだろうか。さらに、日本は何を学び、これからをどう考えるべきか。「メルケルなきドイツ」「メルケルなきEU」を展望し、初の離脱国を迎え岐路に立たされているEUに鋭く切り込む。

内容説明

欧州に走る縦・横・斜めの亀裂、「一強の経済」による「歪」。「女帝」が遺した「果実」と「負債」。世界の混迷が深まるなか、次のリーダーはどう受け継ぐのか?そして日本は何を学ぶのか?

目次

第1章 現在 メルケル時代の総括―4つの次元における整理(域内:「看守」ドイツの誕生。ユーロ圏は「監獄」化;域外:世界にも「友人」が乏しそう)
第2章 現在 ドイツ一強がもたらす「歪」(経済の「歪」;政治の「歪」:無制限難民受け入れがもたらしたもの ほか)
第3章 過去 「病人」は如何にして復活したか(「欧州の病人」への処方箋:シュレーダー改革;メルケル政権を支えた「追い風」)
第4章 未来 アフター・メルケル時代のドイツはどこへ(「メルケルの果実」か、「メルケルの負債」か;アフター・メルケル時代に期待されるドイツの「改心」)
第5章 補論 日本はドイツから何を学ぶべきなのか(ドイツにあって日本にないもの―6つの違い;日本は何を学べるのか)

著者等紹介

唐鎌大輔[カラカマダイスケ]
2004年慶應義塾大学経済学部卒業後、JETRO入構、貿易投資白書の執筆などを務める。2006年からは日本経済研究センターへ出向し、日本経済の短期予測などを担当。その後、2007年からは欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向し、年2回公表されるEU経済見通しの作成などに携わった。2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。所属学会:日本EU学会(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まっと

13
メルケル政権の政策を新たな視点も交えて総括することから始まり、多国連合EUの中でのドイツの位置づけ、その強さの底流にあるものについて自分自身の漠然としていた疑問を解きほぐすかのように論は進む。欧州債務危機を「追い風」とし、前政権が断行したシュレーダー改革の恩恵で長期安定政権につなげた、とする考え方は(あの強さと相まって、だろうが)まさに肚落ちした。時には「180度ターン」も辞さない強いメルケルを継ぐ「アフターメルケル」為政者に求められるもので締めるかと思いきや、日本が学べるものにまで踏込んだ良書だった。2022/06/08

スプリント

11
メルケル大統領は評価が分かれる人物ですね。 EU内のドイツに地位を確立した功績はあれどもEU内で孤立したともいえる。 親中政策が政権が変わりどうなることやら。2022/02/01

カエル軍曹

5
良書。面白かった。ドイツのメルケル首相の総括が知りたくて手に取ったが、彼女個人の歴史というよりは、EUにおけるドイツの立ち位置を丁寧に説明してくれる教科書だった。説明も分かりやすいし、もっともっと他の本も書いてほしい。EU域内の縦・横・斜めの亀裂という表現が分かりやすかった。また、パンデミック時の財政出動に関して、メルケルの180度ターンというのも面白い。最後は似ていると言われているが似てはいないドイツと日本の話で締めくくられていた。2022/05/11

Stevie G

4
著者には、朝の経済ニュース番組の欧州経済の解説でいつも教えて頂いています。有難うございます。EU離脱のイギリスの騒ぎの陰で、最近ドイツって何をしているのだっけ、と思っていた時のタイムリーな著作でした。しかし、この作品が出たとたんに、ロシアのウクライナ侵攻で、あまり触れられていない対ロシア関係やエネルギー問題が、シュルツ首相の双肩に突然のしかかることになりました。特にドイツを応援しているわけではありませんが、発言力などでも、英仏などをもう少し諫める役割を果たすポーズくらいはとっても良いような気もします。2022/07/12

ゼロ投資大学

3
メルケルは16年もの長きに渡って欧州の盟主であるドイツの首相として君臨した。メルケル政権を強固にした要因は3つある。シュレーダー改革・欧州債務危機での債権国の地位の確立・永遠の割安通貨の恩恵を享受したことの3つが挙げられる。特にシュレーダー改革によって労働力が安定的に供給されたことは、その後のドイツの発展をより確かなものにした。欧州債務危機・欧州難民危機・パンデミック危機など数々の問題に見舞われながらも長期政権を築き上げたのは、経済財政が盤石の安定感を保っていたからである。2024/08/19

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