出版社内容情報
富の基盤が物的資産から無形資産へ変化した21世紀。世界のトップ企業の多くはGAFAをはじめとする非製造業です。ここでの無形資産とは「情報・技術+データを活かす力」であり、米国・スウェーデンでは既に無形資産投資が有形資産投資を上回っています。その一方で中国はデジタル障壁が高く、海外からの無形資産投資が妨げられ長期的に不利な状況となります。この無形資産投資が各国の明暗を分けることになるのです。
このまま無為無策では、日本の経済規模はドイツにも抜かれ、世界3位から米中印独に次いで5位を争う位置に転落してしまいます。成長率は恒常的にマイナスに陥り、国の経済が縮小を続ける事態です。さらに、貿易戦争で世界経済が大戦前のようにブロック化すれば、世界恐慌という悪夢のシナリオも現実味を帯びます。本書は、生産性向上に向けたデジタル化対応を加速する日本経済改革シナリオを提示します。
★改革シナリオ 現在進行中の第4次産業革命に対応し、世界でデジタル化を加速させるための無形資産投資が進む。成長率を0.2~ 0.4 ポイント押し上げる効果があり、人口減の日本も0.3 ポイント押し上げられ、プラス成長を維持することが可能になる。
本書では、この改革シナリオを実現するための、プライバシー保護に配慮しつつも、自由なデータ流通を促す仕組み・制度づくりを提言。デジタル化が産業構造に及ぼす影響(脱製造業化、サービスの電子化、デジタル貿易の拡大)、CO2削減効果なども明らかにします。
内容説明
停滞、改革、悪夢―。我々は今、この「3つの未来」の分岐点にいる。迫りくるデジタル経済や高齢化の波を直視せず、旧来型の制度や経営、働き方に安住すれば、停滞の道が待っている。働き手の生活水準は段々と低下し、将来に希望を見いだすのは難しくなる。経済規模は米国・中国に圧倒的な差を付けられ、日本は国際政治や経済の場における存在感を失っていく。デジタル化の恩恵を引き出し、悪夢が現実となるのを避けるには、どんな改革が必要なのか。デジタル資本主義の詳細な未来図を描きながら、生産性向上に向けたデジタル化対応を加速する改革シナリオを提示する画期的日本経済論。
目次
第1章 未来の風景―2060年のある日
第2章 デジタル資本主義の未来―無形資産が主役に
第3章 経済勢力図の未来―米中が伯仲
第4章 産業地図の未来―グローバル競争、サービスにも
第5章 シニアの未来―「中期雇用」導入カギに
第6章 財政と暮らしの未来―負担増どこまで
第7章 CO2の未来―デジタル化で「6割減」視野に
第8章 トランプ主義の未来―自国主義 慢性化も
終章 維持可能な未来へ―デジタル資本主義の改革を(岩田一政)
著者等紹介
岩田一政[イワタカズマサ]
1946年生まれ。70年東京大学教養学部教養学科卒業、経済企画庁入庁。西ドイツ世界経済研究所留学、OECD勤務、経済企画庁経済研究所主任研究官を経て、86年東京大学教養学部助教授に就任。同大教授を経て、2001年内閣府政策統括官。03年より08年まで日本銀行副総裁。内閣府経済社会総合研究所所長を経て現在、日本経済研究センター代表理事・理事長。東京大学名誉教授。郵政民営化委員会委員長も務める。主な著書に『金融政策と銀行行動』(共著、東洋経済新報社、1980年、第21回エコノミスト賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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