出版社内容情報
国際金融ビジネスの指標LIBORがスキャンダルによって2021年に消滅!日本企業・富裕層にも及ぶ危機の構造を日経記者が解明。
内容説明
世界で300兆ドルの取引に使われ、国際金融ビジネスの指標として用いられてきたLIBOR(ロンドン銀行間金利)。だが不正操作スキャンダルで信用が失墜し、虚構の指標であることも判明。2021年末に消滅が決まった。本書は、LIBORの誕生、発展、不祥事による危機、見直し、廃止までの波乱万丈の軌跡を明らかにし、廃止の衝撃を解説するもの。
目次
1 危機―金利の国際基準が消える2021年
2 誕生―グローバリゼーションを拓く
3 暴走―不正でゆがむ金融秩序
4 改革―当局介入の軟着陸
5 挫折―重症だった国際標準
6 変質―グローバリゼーション、終わりの始まり
著者等紹介
太田康夫[オオタヤスオ]
日本経済新聞社編集局編集委員。1959年京都生まれ。82年東京大学卒業、同年日本経済新聞社入社。金融部、チューリヒ(スイス)支局、経済部などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぐんまくん。
2
当たり前のように接していたLIBORやTIBORの誕生、拡大の経緯はとても興味深かった。そして、その歴史の浅さに驚いた。特にTIBORが、1989年とは! 代替となるRFRが通貨によって前提が異なるのは知らなかった。 2021年末LIBOR廃止は過ぎたが、幸い大きな混乱はない。2022/11/06
RyoShun
1
LIBORの利用状況:300兆ドル2021/10/03
真名
1
最終章で触れられていた「修正グローバリゼーション」が印象的だった。これまでグローバル化が進み、各国の規制が及ばない中で金が移動し利益をあげる人々がいたが、それにより格差が拡大したことで逆方向の動きが生まれた。LIBOR消滅もそのような流れの一環で、これまで民間で決められてきた金利が、各国の中央銀行などの監視下に置かれることになったー。グローバル化はこれからどうなるのだろうか。2020/10/19
ぼいじゃー
0
2021年に消滅するとされるLIBORについて、歴史と現状、そして消滅の影響をまとめた一冊。現在5通貨で公表されているLIBORの取引は、合計300兆ドル、日本円にして3京円に上るとされるが、もはや巨額すぎて想像がつかない。これはLIBORがグローバル金融において利便性の高い統一指標として、様々な取引に参照されてきた結果である。LIBORなき後の代替指標の議論は進んでいるが、消滅の影響を完全になくすことはできない。経営から現場まで、様々なレベルでの工夫が求められていくだろう。カウントダウンは始まっている。2020/05/31
kaz
0
LIBORをめぐる事件の概要は知っていたが、誕生した経緯、内在する問題、事件の詳細等は認識を新たにした。TIBORの問題点もわかりやすくまとめてある。組織の略称等がなかなか頭に入らず、以前のページに戻って確認しなければならないのが難。コロナ問題の終息が見えない中、新たな指標づくりやその定着がうまく行くのか、気が抜けない。 2020/04/23