内容説明
政策を熟知した前内閣府事務次官が、世界を席巻する新しい経済のメカニズム、日銀の苦悩、アベノミクス成功の理由を明快に解説する。
目次
第１章 知られざる金融政策大転換の本質
第２章 ハイパー・インフレーションの記憶
第３章 リスク・オン経済の衝撃
第４章 デフレの下に独り負けしていた日本経済
第５章 思い切った金融政策のＤＮＡを持っている日本と米国
第６章 日本経済の底力
著者等紹介
松元崇［マツモトタカシ］
第一生命経済研究所特別顧問。１９５２年東京生まれ。７５年国家公務員上級試験と司法試験に合格、７６年東京大学法学部卒業。同年大蔵省（現・財務省）入省、８０年米スタンフォード大学ＭＢＡ取得。証券局総務課課長補佐、主計局主計官補佐、熊本県企画開発部長、銀行局金融会社室長、主税局総務課主税企画官、主計局調査課長、主計局主計官、主計局総務課長、大臣官房参事官兼審議官、主計局次長、内閣府政策統括官、内閣府官房長、内閣府事務次官などを経て現職（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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koji
2
ベルリンの壁崩壊後、発展途上国が力強い成長を見せ、巨額の資金がより高いリターンを求めて世界中を縦横に動き回り始めました。これがリスクオン経済です（筆者の造語）。ところが日本は、この流れに乗れず１５年以上デフレに陥りました。この状況を打破するのがアベノミクスというのが本書の構成です。やや新味が薄い感じです。ただ本書は、日本人に、リスクに立ち向かう姿勢、アニマルスピリット（好奇心をもって前向きにチャレンジすること）を持つことを提言している点に共感を覚えます。そのように読むと本書に広がりが見えてきます。2014/11/19
Kentaro
1
ダイジェスト版からの要約 かつての世界は、常にインフレを心配しなければなかった。全人口の15％しか占めない先進国の成長だけでは、物やサービスの生産が人々の欲望を満たすには十分でなかった。それが、BRICSが世界の成長センターとして登場し、アジアやアフリカの多くの国々の中にも治安が安定して成長が本格化する国が出てきた。それらの国々からの安価な輸入品が先進国の物価上昇を抑えるようになった。先進国ではそれまでのように常にインフレを恐れる必要がなくなった代わりに、むしろデフレを恐れなければならなくなったのである。2018/04/26
ゆきまさくん
0
財務省や内閣府の要職に携われた経験を踏まえた氏の講演をお聞きし、とても興味を惹かれた。 氏によれば、今世界はかつての資金不足の下でインフレを心配していた状況から、金余りなのにデフレを心配しなければならなくなったとしている。 このような、これまでとは正反対の状況になったベルリンの壁崩壊以降の経済を氏はリスク・オン経済と呼んでいる。 デフレ下なのにハイパーインフレも心配しなければならなかった日本の政策の誤解をただしている。 項目毎にまとまっていて、読みやすい良書。 2015/08/19
tacacuro
0
巨額の資金がより高いリターンを求めて世界中を縦横に動き回るリスク・オン経済の下では､特定の経済理論のみでは適切な政策をみつけることができないという｡現在の異次元緩和策の出口戦略は､「銀行券発券業務」として捉えるのではなく、「金融資産管理業務」として捉えれば、単純な金融引き締め策とは理解されず､いたずらに金利の乱高下等を心配しなくてよいはず､ということだが、いずれにせよ､市場との十分な対話が重要｡2015/06/29
kurosuke
0
過去の経済理論では説明出来ないリスクオン経済の中、思い切った量的緩和はハイパーインフレは起こりえずデフレから脱却すると著者は主張。また、日本のこれからの成長には、さらなる規制緩和と人的資源を生かすことが必要。さらに人的資源を生かしてイノベーションを実現し、その成果を価格引き下げ競争に使うべきではないと主張。経済史に無理やりひもつけるあたりはわかりづらく若干飛躍はあるも読み物として面白かった！2014/12/17
