内容説明
アメリカ主導の体制が終わったいま、次に訪れるのは、米中のG2体制か、第二の冷戦の勃発か。そのとき日本は―。気鋭の政治学者が、ポストGゼロ時代の展開を予測する。
目次
第1章 Gゼロとは何か?
第2章 Gゼロへの道
第3章 Gゼロ・インパクト
第4章 勝者と敗者
第5章 来るべき世界
第6章 Gゼロ・アメリカ
著者等紹介
ブレマー,イアン[ブレマー,イアン][Bremmer,Ian]
ユーラシア・グループ社長。スタンフォード大学にて博士号(旧ソ連研究)、フーバー研究所のナショナル・フェローに最年少25歳で就任。コロンビア大学、東西研究所(East West Institute)、ローレンス・リバモア国立研究所を経て、ワールド・ポリシー研究所の上級研究員(現職)。2007年には、世界経済フォーラムの「ヤング・グローバル・リーダー」に選出される。1998年、28歳で調査研究・コンサルティング会社、ユーラシア・グループをニューヨークに設立
北沢格[キタザワイタル]
中央大学経済学部教授。1960年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科英語英文学専攻博士課程単位取得退学。翻訳家としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメフトファン
41
超大国であったアメリカが過剰な債務などの内政的な問題で唯一の超大国の座に固執しなくなった現在の様々な問題点を鋭く指摘した本書は読み応えがありました。現在の集団的自衛権の問題もアメリカの国防費削減の傾向と密接な関係があるような気がします。世界の今を知るのに最適な本だと思います。2014/06/06
エリク
32
非グローバル化、その典型的な考え方がこのGゼロだと思います。アメリカ、ヨーロッパ、日本、中国代表の新興国などといった大国が、おのれのことで手いっぱいになり、他国への干渉が難しくなる。だから、G20やG8(G7)は役に立たなくなるという考え方です。 非常に面白く、学校では、グローバル化のことしか習わなかった僕にとって、非常に斬新な考え方でした。2020/04/10
Miyoshi Hirotaka
31
冷戦終結後の国際的な力の拡散は、2008年の金融危機後急加速し、力の真空地帯を生んだが、それを穴埋めできる国や組織はない。米国の優位的な地位が終わりを迎えようとしているが、グローバルリーダーを引受けられる国や国家連合が存在しない時代になった。この状態が続くと、各国や各地域内でもリーダーシップが弱まり、権力の細分化につれ障壁や制約が複雑化し、争いが発生する。これを防ぐためにはグローバル化に投資し、自由な競争を促進することだ。それには、価値観を共有する国と同盟し、国際社会の行動を妨害する勢力と対抗するべきだ。2015/07/02
謙信公
14
冷戦後G1となった米国がリーマン後内向きとなり、リーダー不在となる世界の今後を解説。米国以外の先進国は1国では無理、新興国は自国発展と安定で手一杯。寄せ集めのG20は機能せず、G7は過去の遺物、G3(日米欧)は夢物語、G2(米中)は時期尚早とし、米国優位でのGゼロがしばらく続くとする。今後のシナリオとして①G2②G20による協調③米中経済冷戦④米国以外の台頭による地域分裂社会⑤国際秩序の分裂(Gマイナス)を予測。著者は④の見込みが高いとするが、執筆から8年、コロナを経てさらに③に向かっているように思える。2020/05/27
うえ
11
「ロシアが直面している外部からの圧力は、第一次大戦勃発以降、最小になっている。ロシア政府は、かつてのソ連領へ、再び確固たる影響力を及ぼす…プーチンが高圧的な態度で…関税同盟に、ウクライナを加盟させようとしている…2008年8月にロシアがグルジアに侵攻したとき、当時のブッシュ政権が、干渉するための手段を事実上何一つ打ち出せなかったように、ワシントンがロシアの影響圏内部へ発揮できる影響力は次第に縮小していく…ロシアにとってのGゼロのもたらすプラスの面だ。しかし、時が経つにつれてマイナスの面も見えてくる。」2022/03/14