内容説明
一時は各国政府がこぞって採用したケインズ経済学は、なぜ古典派経済学と自由市場原理に敗れたのか。そしていまなぜ復活なのか。ケインズ研究に生涯を捧げた第一人者が、ケインズの理論と生涯、そして今日的意義を分かりやすく解説しながら、今回の危機を生み出した制度的、理論的、道徳的失敗を論じる。
目次
第１部 危機（問題はどこに；経済学の現状）
第２部 ケインズ経済学の興亡（ケインズの生涯；ケインズの経済学；ケインズ革命は成功か失敗か）
第３部 よみがえるケインズ（ケインズと資本主義の倫理；ケインズの政治学；ケインズの今日的な意義）
著者等紹介
スキデルスキー，ロバート［スキデルスキー，ロバート］［Ｓｋｉｄｅｌｓｋｙ，Ｒｏｂｅｒｔ］
ウォリック大学政治経済学名誉教授。ケインズ研究の第一人者であり、数々の学術賞を受賞した伝記を３冊執筆している。１９９１年に一代貴族に、１９９４年に英国学士院会員に選出された。アメリカの大手資産運用会社ジャヌス・キャピタル・マネジメントとロシアの大手通信会社システマＪＳＦＣの非常勤取締役も務める
山岡洋一［ヤマオカヨウイチ］
翻訳家。１９４９年生まれ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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34
12
この本が書かれた2009年はまだケインズ「復活」の最高潮ではなかったと今ではいえる。ケインズとハイエクを対立させることにどんな意味があるのかすらわからないような時代に、もしかしたら突入しつつあるのかもしれない。たしかにイデオロギー的対立の意味は（とくにアメリカで）大いにあるが、今日の支配階級はあきらかにグローバルな資本主義の再生産の超国家的条件について考え方を改めたのである。ケインズにとってもハイエクにとっても、資本主義再生のメタ条件を構築するのは当然のことながら特権階級にのみ割り当てられた役割であった。2021/05/01
壱萬弐仟縁
11
２００９年初出。副題が良いと思った。ロバート・ワルドマンは、アメリカ経済学界を淡水学派と海水学派に分けた（６１頁～）。わたくしは後者の人間で、正式な経済理論を使わずに実証研究で成果を、というのに魅力を感じる。前者は難しい数学を使うので。効率性だけでなくて、やる気が生産性を高めるし、考え方を規定する判断力という三位一体でないといけない、とされたのは、牛山恭範先生であった。成績アップや合格を果たす際、経済学に与えるインプリケーションがある。経済学者は、数学者、史家、政治家であらねばならない（９６頁）。学際性。2014/02/25
手押し戦車
8
景気が悪化したとき金利を下げるが金利が低いのは無リスクの時である。貸し手が融資を借り手が予想する利益率では負担出来ないほど高い金利を要求続けると長期の不況になる。通貨が経済活動を刺激する飲み物だとするとコップと唇の間で流れ落ちる部分がかなりある。貸出金利を下げても予想利益率が金利以上下がると借入は増えず債務を返済する為に貯蓄が増えると経済は盛んにならない。政府は投資利益率が低下した時に政策を所得格差の縮小それによる消費拡大し資本が有り余る時代には経済問題が解決され人々は賢明に快適に裕福に生活する術を学ぶ。2014/09/15
タカオ
4
きっととても興味深い内容だったのではないかとは思う。しかし、この本を理解するには、ある程度の経済学の知識が必要なようで、本文に現れる理論や政策はすべて知っている前提で、どんどん話が進んでいく。私はうろ覚えだったので、テキトーに読み通した（笑）この本を読んで「うんうん、なるほど」となれる人は、きっとしっかり経済を理解している人なのだろう……本文のページ数は少なめなので、手には取りやすいのですけどね。2017/08/04
koji
4
リスクと不確実性の区別。ケインズ理論を金融危機後の世界に適用できるか。疑問は氷解せず。2010/02/18
