2030半導体の地政学―戦略物資を支配するのは誰か

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  • サイズ 46判/ページ数 285p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532324414
  • NDC分類 549.8
  • Cコード C0034

出版社内容情報

 米中対立の激化に伴い、戦略物資としての半導体の価値が高まっています。米バイデン政権は政府助成による国内企業のテコ入れを急ぎ、中国への技術移転を阻止する政策を矢継ぎ早に打ち出しました。日本でも半導体産業の復興を目指した国家戦略が始動しています。自動車で進むCASE革命をはじめ経済のデジタル化において半導体は不可欠な存在であり、需要は高まり高度化もますます進んでいます。
 経済のグローバル化が進み、半導体をはじめとするテクノロジー産業では、国際的な分業・物流が発達しました。米中で二極化する世界では、複雑化したサプライチェーンの要衝を戦略的に支配下に置かなければ、経済の安定と競争力を保てなくなっています。
 政府が経済を管理する国家安全保障の論理と、市場競争に基づくグローバル企業の自由経済の論理が相克し、半導体をめぐる世界情勢はますます不透明になっていきます。
 日本は20世紀に「半導体大国」と呼ばれ、世界の市場を席巻しました。だが、米国、韓、台湾との競争に破れ、かつての権勢は見る影もありません。大きく変わる国際情勢の中で日本に再びチャンスは訪れるのでしょうか。半導体産業の復興を夢見て、水面下では政府、企業がにわかに動き始めています。
 本書は、米中対立の情勢分析、最先端の技術開発の現場ルポ、過去の日米摩擦の交渉当事者の証言などを交えながら、技術覇権をめぐる国家間のゲームを地政学的な視点で読み解き、ニッポン半導体の将来像を展望します。

内容説明

米中対立の激化に伴い、戦略物資として価値がますます高まる半導体。政府が経済を管理する国家安全保障の論理と、市場競争にもとづくグローバル企業の自由経済の論理が相克し、半導体をめぐる世界情勢はますます不透明になっている。激変する国際情勢のなかで日本に再びチャンスは訪れるのか。30年以上にわたって半導体を追いかけてきた記者が、技術覇権をめぐる国家間のゲームを地政学的な視点で読み解き、日本の半導体の将来を展望。

目次

序章 司令塔になったホワイトハウス
1 バイデンのシリコン地図
2 デカップリングは起きるか
3 さまよう台風の目―台湾争奪戦
4 習近平の百年戦争
5 デジタル三国志が始まる
6 日本再起動
7 隠れた主役
8 見えない防衛線
終章 2030年への日本の戦略

著者等紹介

太田泰彦[オオタヤスヒコ]
日本経済新聞編集委員。1985年に入社。米マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学後、ワシントン、フランクフルト、シンガポールに駐在し、通商、外交、テクノロジー、国際金融などをテーマに取材。一面コラム「春秋」の執筆を担当した。2004年から21年まで編集委員兼論説委員。中国の「一帯一路」構想の報道などで2017年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞した。1961年東京生まれ。北海道大学理学部卒業(量子物理化学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

137
私自身、半導体産業に全く無知なので、とても勉強になった。開発・設計に特化したファブレス企業、製造を担うファウンドリー、そしてユーザー企業の三者による微妙な力関係がよくわかる。更に、米欧中が、国の安全保障を賭けてデジタル三国志を戦っている背景を知って、TSMCのアリゾナ工場・日本工場の意味、ファーウェイへの制裁の方法、ソフトバンクによるアームの買収(そして売却)などのニュースの意味が腑に落ちて理解できた。世界は、資金量・スピード感・政府の関与などが余りにも異次元で、日本の将来がますます悲観的に思えてくる。2022/03/23

アキ

117
前半部分が面白かった。日本はかつて世界の半分を占めるほど半導体大国であったが、米国の圧力により今では見る影もない。日本にとって半導体とはビジネスでしかなかったが、米国にとって国家の安全保障に関わる最重要項目。今後益々サイバー空間での半導体の地政学が重要となる。なぜ米国が台湾に関与を強めるのか?その一因は台湾の世界最大の半導体生産を誇るTSMC社を中国に渡さないためである。台湾海峡に関してG7が声明を出したのもEUが半導体の重要性を認識していることの裏返し。現在半導体で世界的なシェアを持つのは米国、中国、→2022/10/05

molysk

71
地政学の舞台は、伝統的な陸海空の現実空間から、デジタル情報が行き交う仮想空間へと拡大した。いまやデータの通信や処理を行う半導体が、国家の安全を保障する戦略物資となった。米国は自国のサプライチェーンに欠けた製造工程を補うため、台湾のTSMCを国内に誘致して、中国への供給を禁止する。中国は台湾に軍事的圧力を掛けつつ、莫大な助成金で自国企業の育成を急ぐ。欧州は技術の要衝となる特定分野に注力する。そして日本は、世界に存在感を示すような、切り札となる技術を持つことができるか。国家、企業、技術者の発奮にかかっている。2022/01/16

Tenouji

45
半導体は、サイバー空間における、武器、インフラってことなんですよね。で、日本はどういう戦略で?2022/08/16

奈良 楓

42
【とても良かった】新聞では深堀しきれない、地政学的な観点からの半導体の現況について。うまくレビューできませんが、ともかく面白いです。チョークポイント(≒物事の進行を左右する重要な部分)を抑えれば日本の半導体業界も全く負けではない、というのが一抹の希望。ですが、政治的、オールジャパン的な動きは全然ダメなのもよくわかりました。2022/05/08

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