アート思考のものづくり

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アート思考のものづくり

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  • サイズ 46判/ページ数 268p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532323844
  • NDC分類 336.17
  • Cコード C0034

出版社内容情報

「モノからコトへ」と言われる中で、デザイン思考などの手法が取りざたされています。その方向性は重要ですが、日本企業が世界を再びリードするためには、トレンドの追従だけでは不十分です。ユーザー満足を目標とするデザイン思考を超えて、ユーザーの想定を超えた感動をもたらすものづくりを目指すべきです。その実現に必要とされるのが、自ら強く信じる哲学や信念を表現する「アート思考」なのです。
 この20年間で日本の製造業が競争力を低下させた主因の一つは、求められるイノベーションの変化に対応できなかったからです。技術と同等以上に顧客価値の視点が鍵を握るようになったのです。かつては技術的な機能の高さなどカタログスペックで明示できる形式的な価値が企業の競争優位を規定していました。現在は、消費財であれば、心地よいユーザビリティや心を動かされるデザイン、生産財であれば顧客企業に経済的価値をもたらすソリューション提案など、単純な商品仕様を超えた暗黙的な顧客価値が競争力を左右する時代となったのです。
 本書は、欧米主導のデザイン思考を取り入れるだけでは十分ではないと考えます。今後、日本企業がその強みを基盤として輝きを取り戻すためには、アート思考が求められるのです。
 本書は、多くの部分で「アート思考」の考え方と同調した商品開発を実施してきたマツダを事例として取り上げます。常識を超えたエンジン技術や感動をもたらすデザインなど、ユーザーニーズを超えた価値を目指している。中でも、既に世界をリードするレベルまでになったマツダデザインに焦点を当てます。それを牽引してきたリーダーである前田育男氏の全面協力を得て、実行してきた内容をベースにしているので、説得力の高い説明になります。

内容説明

強みにこだわり再び世界に輝くものづくりを目指せ。日本企業が再び輝くために必要なのは、ユーザーの想定を超えた感動をもたらすアート思考のものづくりだ。それを実現するために必要な、SEDA人材、マス・クラフツマンシップ、生命の表現、引き算の美学などの条件を、マツダの魂動デザインや、アップルなど世界で評価される事例から学ぶ。

目次

第1部 背景―日本企業の向かうべき方向性(暗黙化した顧客価値―日本企業の生きる道;自動車企業およびマツダから学ぶ意味)
第2部 SEDAモデルとアート思考(SEDAモデル;デザイン・エンジニアの重要性 ほか)
第3部 アート思考の魂動デザイン(マツダのものづくり哲学;魂動デザインの誕生と展開 ほか)
第4部 魂動デザインの実現―匠の技とブランド経営(造形のアーティスト―クレイモデラー;アートレベルのモノづくり ほか)
第5部 統合的価値創出の経営(こだわりのSEDA人材;日本のものづくりが目指すべきアート思考)

著者等紹介

延岡健太郎[ノベオカケンタロウ]
1959年広島県生まれ、81年大阪大学工学部卒業、同年マツダに入社。88年マサチューセッツ工科大学より経営学修士取得、93年マサチューセッツ工科大学よりPh.D(経営学博士)取得、94年神戸大学経済経営研究所助教授、99年同教授、2008年一橋大学イノベーション研究センター教授、18年大阪大学経済学研究科教授。主著に『マルチプロジェクト戦略』(日経・経済図書文化賞、有斐閣、1996年)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Jessica

5
いわゆるプロダクトアウトについて。マツダの鼓動デザイン哲学をベースに語っている。「大衆的なかっこよさ」ではなく、「美しさ」を極めるといった点。 本書の目的は「日本企業のものづくりが、再び世界を牽引する役割を果たすために必要とされる経営哲学としてアート思考でものづくりをするこということ」の提言。デザイナーとして大変勉強になった。2023/06/28

くらーく

3
MOT[技術経営]入門を当時の役員に勧められて読みましたねえ。懐かしいな。。何も残っちゃいないけど。 久しぶりの延岡健太郎。SEDAモデルねえ。よく考えるなあ。4つの四角モデルは定番だよね、経営学の。 マツダ自動車は確かに良くなりましたね。カッコイイかも。バブル以前は、車をデザインで買いましたものね。バブルが弾けた後は実用性で。その後は、車の必要性が問われるようになりました。 ものづくりもどうなるのでしょうかねえ。 本書は、現役の技術者には良いテキストでしょうな。突き詰めていえば、ルネサンス・マンですね。2021/07/07

yyhhyy

1
マツダ在籍経験のある経営研究者がマツダ社員にインタビューを重ね鼓動デザインの仕組みを組織関連系中心にまとめあげた良書。2021/04/29

Go Extreme

1
日本企業の向かうべき方向性 沈黙化した顧客価値:暗黙的な意味的価値・モノからコトへ デザイン思考の台頭 経験価値以上の感動価値 顧客価値イノベーション 自動車企業およびマツダから学ぶ意味:自動車の意味的価値 魂動デザインとスカイアクティブエンジン アート思考の車づくり SEDAモデル:統合価値の時代 機能的価値と意味的価値 価値の革新性・問題解決と問題提起 エンジニアリング・サイエンス・アート・デザイン・アート デザイン・エンジニアの重要性:理系的思考と文系的思考 アート思考のものづくりとは 2021/03/01

nks

0
マツダの経営を手掛かりに、顧客に迎合するのではなく、信念や哲学を表現する「アート思考のものづくり」を取り入れることが、日本のものづくり復活のカギであると説く。一般的にはプロダクトアウトは良くない、とされがちだが、そうではなく、『自分が心の底から作りたいと信じ、顧客にとっても理想だと考える車を送り出す。・・・結果的に顧客の要望を聞いた場合よりも、より大きな感動を引き起こさなければ意味はない。』と、顧客の声より自分たちの信念・哲学を徹底的に製品に入れ込もう、と主張している点が興味深かった。2021/10/28

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