出版社内容情報
「モノからコトへ」と言われる中で、デザイン思考などの手法が取りざたされています。その方向性は重要ですが、日本企業が世界を再びリードするためには、トレンドの追従だけでは不十分です。ユーザー満足を目標とするデザイン思考を超えて、ユーザーの想定を超えた感動をもたらすものづくりを目指すべきです。その実現に必要とされるのが、自ら強く信じる哲学や信念を表現する「アート思考」なのです。
この20年間で日本の製造業が競争力を低下させた主因の一つは、求められるイノベーションの変化に対応できなかったからです。技術と同等以上に顧客価値の視点が鍵を握るようになったのです。かつては技術的な機能の高さなどカタログスペックで明示できる形式的な価値が企業の競争優位を規定していました。現在は、消費財であれば、心地よいユーザビリティや心を動かされるデザイン、生産財であれば顧客企業に経済的価値をもたらすソリューション提案など、単純な商品仕様を超えた暗黙的な顧客価値が競争力を左右する時代となったのです。
本書は、欧米主導のデザイン思考を取り入れるだけでは十分ではないと考えます。今後、日本企業がその強みを基盤として輝きを取り戻すためには、アート思考が求められるのです。
本書は、多くの部分で「アート思考」の考え方と同調した商品開発を実施してきたマツダを事例として取り上げます。常識を超えたエンジン技術や感動をもたらすデザインなど、ユーザーニーズを超えた価値を目指している。中でも、既に世界をリードするレベルまでになったマツダデザインに焦点を当てます。それを牽引してきたリーダーである前田育男氏の全面協力を得て、実行してきた内容をベースにしているので、説得力の高い説明になります。
内容説明
強みにこだわり再び世界に輝くものづくりを目指せ。日本企業が再び輝くために必要なのは、ユーザーの想定を超えた感動をもたらすアート思考のものづくりだ。それを実現するために必要な、SEDA人材、マス・クラフツマンシップ、生命の表現、引き算の美学などの条件を、マツダの魂動デザインや、アップルなど世界で評価される事例から学ぶ。
目次
第1部 背景―日本企業の向かうべき方向性(暗黙化した顧客価値―日本企業の生きる道;自動車企業およびマツダから学ぶ意味)
第2部 SEDAモデルとアート思考(SEDAモデル;デザイン・エンジニアの重要性 ほか)
第3部 アート思考の魂動デザイン(マツダのものづくり哲学;魂動デザインの誕生と展開 ほか)
第4部 魂動デザインの実現―匠の技とブランド経営(造形のアーティスト―クレイモデラー;アートレベルのモノづくり ほか)
第5部 統合的価値創出の経営(こだわりのSEDA人材;日本のものづくりが目指すべきアート思考)
著者等紹介
延岡健太郎[ノベオカケンタロウ]
1959年広島県生まれ、81年大阪大学工学部卒業、同年マツダに入社。88年マサチューセッツ工科大学より経営学修士取得、93年マサチューセッツ工科大学よりPh.D(経営学博士)取得、94年神戸大学経済経営研究所助教授、99年同教授、2008年一橋大学イノベーション研究センター教授、18年大阪大学経済学研究科教授。主著に『マルチプロジェクト戦略』(日経・経済図書文化賞、有斐閣、1996年)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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