内容説明
統治に潜むリスク、監査の課題、司法との認識のズレ、そして「責任逃れ」の連鎖…東芝調査報告書から浮かび上がる構造問題に鋭く切り込む。
目次
序章 正しい財務諸表はどこに―東芝事件が浮き彫りにした監査の不可思議
第1章 長銀の粉飾事件(長銀粉飾事件とはどんな事件だったのか;最高裁判決 ほか)
第2章 三洋電機の粉飾事件(朽ちた巨木;関係会社株式の評価 ほか)
第3章 東芝の粉飾事件(監査の進め方;工事契約の監査 ほか)
第4章 トップレベルの内部統制とは(なぜトップレベルの内部統制が必要なのか;よい経営者を選ぶ ほか)
著者等紹介
浜田康[ハマダヤスシ]
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科特任教授。公認会計士。1952年東京生まれ。1977年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。1979年公認会計士登録。中央青山監査法人、あずさ監査法人代表社員を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きみたけ
48
著者は、青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科特任教授で公認会計士の浜田康先生。統治に潜むリスク、監査の課題、司法との認識のズレ、責任逃れの連鎖など、東芝調査報告書から浮かび上がる構造問題に鋭く切り込んだ一冊。前段として、長銀の粉飾事件、三洋電機の粉飾事件の詳細についても言及しています。工事損失引当金や有償支給取引による架空利益計上など、不正の手口は理解したものの、なぜ会計監査で引っかからなかったのかが疑問。経理職能の人間としてはとても興味深い内容でした。2025/10/11
スプリント
9
経営陣と監査役は自己の責任をきちんと理解し不正に陥らないよう相互監視が必要。2021/04/03
あらたん
7
会計士が解説する東芝不正会計に対する監査がどうダメだったのか
いいちゃん07
6
日大、フジテレビ、いわしん、ビッグモーターなど企業統治不全について本書を読み返しました。第4章にて「内部統制」は現場任せではなく経営トップ自身が対象であり統制の中心であるべきだと強調されています。特に社長が不正の起点となるリスクを踏まえ以下の三点が必須です。社外取締役による監督、社長候補の選定制度、取締役会の実効性ある関与が不可欠です。形だけの統制では粉飾は防げず、経営の健全性を保つには、経営陣自らが統制される仕組みの構築が本質だと、記されていました。人事権を握り続ける企業に上記は通用するのでしょうか?2025/07/20
kanaoka 58
6
粉飾が生み出される日本特有の社会要因は、①そもそも粉飾を根源的に悪と捉えていない事 ②資本家に対する無理解と嫌悪感 ③村的な仲間意識と未成熟な自律心の3つに纏められるように思う。法の厳罰化が必要なのだが、世間は、果たして帳簿を書き換えた「だけ?」で刑務所行きとする事に本当に納得するだろうか?2016/05/26