内容説明
統治に潜むリスク、監査の課題、司法との認識のズレ、そして「責任逃れ」の連鎖…東芝調査報告書から浮かび上がる構造問題に鋭く切り込む。
目次
序章 正しい財務諸表はどこに―東芝事件が浮き彫りにした監査の不可思議
第1章 長銀の粉飾事件(長銀粉飾事件とはどんな事件だったのか;最高裁判決 ほか)
第2章 三洋電機の粉飾事件(朽ちた巨木;関係会社株式の評価 ほか)
第3章 東芝の粉飾事件(監査の進め方;工事契約の監査 ほか)
第4章 トップレベルの内部統制とは(なぜトップレベルの内部統制が必要なのか;よい経営者を選ぶ ほか)
著者等紹介
浜田康[ハマダヤスシ]
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科特任教授。公認会計士。1952年東京生まれ。1977年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。1979年公認会計士登録。中央青山監査法人、あずさ監査法人代表社員を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スプリント
7
経営陣と監査役は自己の責任をきちんと理解し不正に陥らないよう相互監視が必要。2021/04/03
あらたん
6
会計士が解説する東芝不正会計に対する監査がどうダメだったのか
kanaoka 57
5
粉飾が生み出される日本特有の社会要因は、①そもそも粉飾を根源的に悪と捉えていない事 ②資本家に対する無理解と嫌悪感 ③村的な仲間意識と未成熟な自律心の3つに纏められるように思う。法の厳罰化が必要なのだが、世間は、果たして帳簿を書き換えた「だけ?」で刑務所行きとする事に本当に納得するだろうか?2016/05/26
横丁の隠居
4
労作です。長銀、山洋電機、東芝、それぞれの粉飾事件の調査や、裁判がどれだけでたらめだったかを、丁寧に立証していきます。簡単に言えば、大会社の経営は粉飾する。経営者がそれを暗に命じて、経理担当がやる。監査役も監査法人もちゃんと調べない。わかっていてもなかったことにする。ついにバレて裁判所にいっても、裁判官がテキトーな理由で無罪にしちゃう。誰も責任を取らない。簡単にいうとそういうことですね。大企業の経営者と監査役と監査法人と司法は全部グルだということだと理解しました。2017/01/11
Stevie G
4
もう我慢ならない、これだけは言っておかないと、という力の入った作品。負けを許されない必死の姿勢で立ち向かってくる経営者の迫力に簡単に押し切られ、間違いが見えているのに見えなくなってしまう会計監査人。双方に対する強烈な苛立ちから筆を執らずにいられなかった筆者の思いがひしひしと伝わってきます。2016/08/07