内容説明
政・労・使「不作為の罪」を問い、混迷からの突破口を提言。派遣やパート、期間社員、契約社員など非正規雇用へ向かう大きな趨勢のなかで、目先の政治課題にあまり惑わされることなく、正社員と非正社員を巡る雇用や賃金・処遇、セーフティネットなどの問題について、客観的な事実の上に立ち、かつ問題の根本に立ち返って、その解決の突破口を探る。
目次
第1章 激震“非正規リストラ”
第2章 迷走する派遣・請負問題
第3章 「非正規一八〇〇万人」時代の雇用改革
第4章 積極的な雇用政策の展開
第5章 均等待遇へのアプローチ
第6章 公的職業訓練と就業支援サービス
第7章 ソーシャル・セーフティネットとしての雇用保険改革
第8章 派遣・フリーターももらえる年金制度改革
第9章 グローバル雇用危機のなかの日本
エピローグ 究極の雇用制度改革
著者等紹介
小林良暢[コバヤシヨシノブ]
グローバル産業雇用総合研究所所長。1939年生まれ。70年電機労連本部書記局に入職。その後企画部専門部長、中央執行役員。90年連合総研主幹研究員、電機総研事務局長。2003年にグローバル産業雇用研究所を設立。2006年~08年、経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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モッタ
10
★★★☆☆ リーマンショック直後に書かれた雇用格差に関する本。本書では、正規・非正規の壁をなくす労働市場の提案がなされている。著者の提案は以下の通りだ。正社員にすることにはこだわらず、非正規労働者は非正規として労働者保護の網をかけ、労働者福祉の向上に質する「非正規労働者一括保護法」の制定という提案。人材の流動性を高めるためにはこの保護法が必要だと私も感じる。 ※図書館借り2012/07/25
としあき
1
非正規労働者全てを正規にすることは不可能で、非正規労働者の待遇改善をもっと重視すべきだとする論は賛同できる。2012/01/14
pepe
0
非正規職員が増加の一途をたどる日本。非正規であることによってこうむる不利益として就業安定性、賃金、雇用保険、年金制度などの点から、どのくらいの格差となるかの分析をおこなっている。年収300万以下が「下層流」とよばれ、労働者の格差は開きを増している現在、本書が示す非正規でもちゃんと生きていけるための解決策の提示は一理ある。2015/11/29
\しおり/
0
さすが日本経済新聞社から出版されているだけあって、明確なデータに基づいて書かれている。非正規雇用の核心をちゃんと衝いていた。私を含め大部分の人が雇用体制に絶望しているわけではないということ。むしろ、自分の人生計画にあった勤務スタイルを「選んでいる」のだ。それなのに、"正社員が望ましい"という風潮のせいで政策は非正規雇用者のニーズとズレている。著者が「働き方のフレキシビリティ」を提案するように、どのような勤務体制であってもそれぞれがそれに納得して働ける社会にすることが最重要だ。2013/04/24