内容説明
北周の重臣の子として生まれた楊広(煬帝)は、利発で美しく、周囲の期待を一身に集める少年だった。だが、その心底には誰にも見えない闇が…。中国史上最凶の暴君の生涯を、壮大なスケールで描き、第1回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞した歴史大作、待望の文庫化。
著者等紹介
塚本青史[ツカモトセイシ]
1949年、倉敷生まれ。大阪で育つ。同志社大学文学部卒後、印刷会社に勤務しながらイラストレーターとして活躍。96年、『霍去病』で文壇デビュー。『煬帝』で、第1回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。父塚本邦雄が主宰していた短歌結社『玲瓏』の発行人も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
236
読む順番を誤ってしまったようだ。『則天武后』とどれくらいリンクしてくるのか、現段階では未知数。著者の作品はまだこれで三作目。皇帝になった瞬間、どんな人間でも馬鹿になることと、后や妾が増長する様子がデフォルト。権力を手にして狂ってゆくまでを、もうちょっと色々描いてくれると嬉しい。煬帝も、かなり有名な暴君/暗君。今作の特徴は、未来予知や透視といった、スピリチュアル要素を取り入れていることであり、目新しくはあるものの、あまり物語に貢献しておらず、むしろ興醒めの要因になっている気がする。下巻でどう展開するか。2023/03/06
金吾
28
有名ですが余り知らない人なので、興味はありますが、文章に乗り切れず、また、なかなか人間関係が整理できませんでした。楊堅は、穏健というイメージでしたので、簒奪後の動きは意外でした。中国の性格かなとも感じました。楊広の才能はあるけれど人としていかがなものかという部分は伝わります。2023/06/21
北之庄
10
独自の視点より、中国史に基づく興味深い作品を擁する、久々の塚本靑史作品。史上名高い隋の煬帝こと揚広の少年時代を上巻は描く。辛うじて知識としては知ってても、具体的なイメージは全くない南北朝時代の中国。共に簒奪王朝である隋と陳の対決、両朝に先立つ北周と後梁朝廷の様子などなど、文学作品としてファンタジックな要素も織り交ぜつつ、読者を飽きさせない。次々と登場する耳馴染みない文武諸官についても、簡潔な言葉と共に巻頭に纏めてくれているので便利。下巻はいよいよ煬帝の登場です。2017/06/26
中島直人
6
(図書館)あまりにも煬帝が卑俗に過ぎ、感情移入することが出来ず、イマイチ面白くない。下巻も読むが、余計な伏線が多過ぎて、回収し切れないのではと今から心配してしまう。2023/05/15
うたまる
5
中国史上最も悪名高い隋の暴君、煬帝(楊広)の一代記。本書により初めて隋も唐も遊牧民族(鮮卑)が建てた国だと知った。元や清とは異なり征服民族の方が漢民族に同化したため、異民族国家と呼ばないらしい。さて上巻では隋帝国の中国統一までが描かれている。これまでのところは正直今一つで、特に主人公の造形が気に入らない。予知夢で未来を見通し、遠方を透視し、相手の心にメッセージも届けられるというサイキック・エンペラーぶりに唖然。解説では著者のことを「リアリズムを追い求める」と評してあり、苦笑うしかない。気乗りせず下巻へ。2016/02/04