出版社内容情報
好調な株式市場は、実体経済を反映したものなのか? 投資の魅力を説く甘い言葉は、非現実的な高いハードルなのではないのか? それでも投資をすることは自分や社会にとってどのような意味をもつのか? 日経のベテラン証券記者が深い議論をやわらかく、わかりやすく語りおろす。
◆株式市場ではさまざまな通説がまかり通っている。しかし、「本当のこと」を見分ける目を持たないと、せっかくの資産形成も袋小路に迷い込みかねない。第一によく資産形成の教科書に書いてある「年率3%の期待リターン」は、簡単に実現できる水準ではない。第二に日本の商社株を買った投資の神様ウォーレン・バフェット氏は実は短期投資家である。第三にESG(環境・社会・ガバナンス)投資には死角がたくさんある。第四に公的年金の運用は危うくて見ていられない。……
◆日本の生産年齢人口はこれから2065年に掛けて年率1%の割合で減る見通しだ。驚くような技術革新でも起きない限り、日本経済はマイナス成長が常態化する可能性が大きく、漫然とした株式投資では資産を減らしてしまう恐れもある。「日本株がダメならば新興国の株式で」という見方もあろうが、高いリターンを求めればリスクも大きくなることを忘れてはならない。
◆かといって、現預金一辺倒が最良かというと、決してそんなことはない。「時代を先取りして成長する企業の株式を買えばいい」ということもあるが、経済は生き物だから、長い一生の間には何が起きるかわからない。現預金はインフレに弱いし、万一、財政破綻でも起きれば、急速に価値を失う恐れもある。現預金を中心にしながらも株式、債券、不動産投資信託(REIT)、貴金属などにも資産を分散し、ひとつがへこんでも他で補えるようにしておくことは、どんな時代でも欠かせない。
◆株式投資は資産形成や資産保全のためだけではない。お気に入りの企業を応援する、せっかくためたお金を有意義に使う、老化を防ぐ、株主優待を活用するといったことにも、役に立つ。たとえ大きなリターンが得られなくても、変にのめり込んだりしなければ、投資活動からはさまざまな人生の「気付き」が得られるかもしれない。
◆株価の動きには日本経済が長期停滞から脱出するためのヒントが詰まっている。本書では長年の取材経験とさまざまなデータをもとに、まず株式市場の今日的問題を明らかにする。それは市場の問題であると同時に、日本経済の問題でもある。何をどう直せば、日本がもっと良くなるのか、本書を読んで一緒に考えてほしい。
内容説明
株式投資はリターンの追求だけが目的ではない。資産保全、お気に入り企業の応援、老化防止、株主優待活用にも役に立つ。株価の動きには長期停滞の原因や、脱出のヒントも潜んでいる。東京株式市場の問題は日本経済の問題でもある。何が起きているのか、どうすべきかを掘り下げる。
目次
第1章 バフェット流は正解か
第2章 投資信託は課題が山積
第3章 公的年金の危うい運用
第4章 想定リターンはマイナス2%
第5章 投資の目的の再点検を
第6章 日本の出口「破壊と創造」
第7章 市場インフラに関する考察
著者等紹介
前田昌孝[マエダマサタカ]
日本経済新聞編集委員。1957年生まれ。79年東京大学教養学部卒業、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年証券部。91~94年ワシントン支局。証券部編集委員、日経ヴェリタス編集部編集委員、日本経済研究センター主任研究員を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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