出版社内容情報
五郎さんは何を見てきたのか―国民的ドラマ「北の国から」を通して日本社会の激動を振り返り、現代につながる課題を浮き彫りにする。
内容説明
フジテレビで1981年から2002年にわたって放映され、国民的な人気ドラマとなった「北の国から」。ドラマの背景となっている日本社会の激動を、東京への人口移動、大量消費社会の台頭、農業の衰退、バブル崩壊、交通事情の変化、恋愛の変遷、受験戦争、ゴミ問題など象徴的な切り口から分析する。
目次
第1章 なぜ五郎は北の国のボロ家へ帰ってきたのか
第2章 『北の国から』の農家はなぜ失敗するのか
第3章 若い五郎はなぜ北の国を去ったのか
第4章 金への意識と金より大切なもの
第5章 バブルのツケを払わされた純たち
第6章 『北の国から』の交通―消えゆく鉄道
第7章 性と恋愛、そして不倫
第8章 教育と自ら命を絶つ若者
第9章 ゴミへのこだわり
終章 『北の国から』は何をもたらしたのか
著者等紹介
藤波匠[フジナミタクミ]
(株)日本総合研究所調査部上席主任研究員。1992年、東京農工大学農学研究科環境保護学専攻修士課程修了。同年東芝入社。99年、さくら総合研究所入社。2001年、日本総合研究所調査部に移籍、山梨総合研究所出向を経て、08年に復職。主として地方再生の研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
39
北の国からファンにはオススメの1冊。シンクタンク研究員の著者が、ドラマに出てくる五郎、純、螢等のセリフや場面設定などから解き明かす日本や北海道の社会の変遷はドラマ探偵といった趣です。農業や鉄道網、子どもの教育、ゴミ問題などなど、昭和という時代が見事に浮かび上がってきます。著者が本当にこのドラマが好きなんだなということが端々に感じられ、好感が持てます。20年にわたり放送されて根強い人気を集めた理由の一端がわかりました。まさに社会の移り変わりが投影されていたからなんですね。2018/02/07
えんちゃん
32
新聞で紹介されていた本。有名ドラマ『北の国から』ドラマの背景に投影された日本社会。その激動の移り変わりを社会学者が分析した本。子供の頃観ていたドラマの切なさや侘しさを思い出しつつ、日本社会の流れが良くわかりました。懐かしさと共にとても勉強になる1冊です。古尾谷雅人に渡した泥付きの二万円の意味するところも改めて沁みます。2018/06/15
おかむら
28
黒板五郎、純、蛍の生きてきた時代背景を社会学的に考察する試み。大真面目です。ドラマのネタバレだらけなのでもちろん全話見た人向け。いやあ、もう泣けるエピソード(に絡む時代背景)がてんこ盛り。草太にいちゃん! 正吉! すげー見たくなった北の国から。BSフジで去年年末年始に全話やったみたいで、知らなかった! もう一度やって! 2017/12/29
ぽんくまそ
16
社会統計にドラマ上の事件を重ねた10個のグラフと1つの鉄道路線図が「北の国から」を観る時に避けていた見たくない事までを見せつける。倉本聰の脚本が登場人物たちを弄びすぎて、ついて行きたくない箇所も多々あったが、それぞれに理由があったのだ。また、五郎が、妻の令子の葬儀に駆けつけるのに使った汽車の乗り継ぎを当時の鉄道ダイヤと料金から突き止めていったのには、著者の並々ならぬ執念を感じた。それでも「五郎から学ぶべきこと」で締め、田中邦衛の存命中に出版が間に合った。あの頃の日本の合わせ鏡であった。2023/02/28
ビグ
15
ドラマ「北の国から」の時代背景をベースにこれまでの日本社会の移り変わりを記している。 私の中での歴代最高のドラマはこのシリーズ。 黒板五郎にはなれないけど、考え方のベースはとても共感できる。何度でも再放送して、知らない世代の人たちや見たことのない人にも是非観てほしいと思う。本の内容も興味深く読むことができた。2025/08/02
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