内容説明
中国が「今後も7%以上の成長を続け、GDPで米国を追い抜き、世界ナンバーワンの大国になる」という見方は楽観に過ぎる。いまのままでは遠からず成長が失速し、深刻な停滞を迎えることになる。中国の経済・ビジネス事情に通暁した著者が説き明かす経済大国の真実。
目次
第1章 中国は5年前には中成長モードに入っていた
第2章 「4兆元投資」の後遺症(短期問題)
第3章 中期的な経済成長を阻むもの―「国家資本主義」と「国進民退」
第4章 新政権の課題(1)―国家資本主義を再逆転
第5章 新政権の課題(2)―成長の富を民に還元(還富于民)
第6章 民営経済の退潮―一投資家の体験談
第7章 新政権の課題(3)―都市・農村二元構造問題の解決
第8章 少子高齢化(長期問題)―「未富先老」
第9章 中国がGDPで米国を抜く日は来ない
第10章 東アジアの不透明な将来
著者等紹介
津上俊哉[ツガミトシヤ]
現代中国研究家、津上工作室代表。1957年生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省入省。中国日本大使館経済部参事官、通商政策局北東アジア課長、経済産業研究所上席研究員などを歴任後、東亜キャピタル株式会社社長を経て現職。著書に『中国台頭』(サントリー学芸賞受賞)等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
8
2013年初版。とりあえず民間企業の成長の余地が小さいのが致命的かな。すこし難しいところもあるが、興味深い内容でした。とりあえず日中両国ともに軍事力増大にかける金はないことも確認できました。2014/08/31
T坊主
8
1.中国は一人っ子政策により、また過剰投資により米国を経済で抜く事はできなくなった。2.国家主義である為に、個人的に有能であっても、所詮責任や苦しみとは無縁で、他人に出してもらった資金についてくるコストについても無感覚、つまり、あるべき市場の規律を受けてていない人々が決めた投資は往々にして失敗する。3.永遠に覇権を唱えないと表明しながら、領土、領海、歴史、主権問題は、覇権が問題になる外交問題の範疇にはいらないらしい。4.歴史的トラウマや漢奸タブーを克服する事は、これからの中国の必須の課題etc.2013/04/13
メタボン
7
☆☆☆ 漢奸という中国人心理を初めて知った。道理で対外的に強硬な姿勢は引くに引けないわけだ。中国の出生率が既に日本並になっているという事実も初めて知った。日本も今後人口減少・高齢化社会という課題があるが、それよりも早く中国も課題となる。中国の「危機感」の方が高いように思われる。多くの中国人民が格差に不満を持っている現実、中国についての理解を深めていく必要がある。2014/05/22
Humbaba
5
印象で相手を評価していると、実態と違っている事に気づいたときには既に手遅れになっている可能性もある。また、かつてはその姿が正しかったとしても、ずっと同じ姿で有り続ける保証もない。常にチェックを続けようと思うとコストが高くつくかも知れないが、全くチェックしないでいるのは危険である。2016/10/30
k_jizo
3
★★北京五輪の暴動あたりからなんかへんだな変だなと思っていた中国の高度成長。短期、中期、長期の分析と国進民退で頭が整理できた2013/08/19