出版社内容情報
書名
内容説明
経済・社会の主導権を握るのは、市場なのか、それとも国家か―。大恐慌とケインズ経済学の登場以来、全世界で繰り広げられてきた政府と市場との格闘のドラマを、政治家や経済学者、官僚らの貴重な証言をもとに、ピュリッツァー賞作家が壮大なスケールで描破。
目次
第1章 栄光の三十年間―ヨーロッパの混合経済
第2章 巨大さという問題―アメリカの規制型資本主義
第3章 運命の誓い―第三世界の台頭
第4章 神がかりの修道士―イギリスの市場革命
第5章 信認の危機―世界的な批判
第6章 奇跡を越えて―アジアの勃興
第7章 黒い猫と白い猫―中国の変貌
著者等紹介
ヤーギン,ダニエル[ヤーギン,ダニエル][Yergin,Daniel A.]
国際的ノンフィクション作家。石油ビジネスの最前線を活写したベストセラー『石油の世紀』で1992年度ピュリッツァー賞を受賞。国際市場での経済およびリスク分析を行うかたわら、エネルギー問題にも積極的に発言。現在はケンブリッジ・エネルギー研究所会長
スタニスロー,ジョゼフ[スタニスロー,ジョゼフ][Stanislaw,Joseph]
ケンブリッジ・エネルギー研究所所長。国際市場および国際政治の一流アドバイザーとして注目を集めている
山岡洋一[ヤマオカヨウイチ]
翻訳家。1949年生まれ。政治経済分野の翻訳で高い評価を得る
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
13
世界恐慌からアジア通貨危機までの経済史を詳細に物語っている一冊。ヨーロッパ、アメリカ、アジア(日本、中国、韓国、シンガポール、他)を丁寧に書いている。本書のタイトルにもある「(自由)市場」と「国家」の関係が分析の対象となっている。世界恐慌後のアメリカや戦後の日本のように、国家主導によって経済不況から脱出した経緯がある。その反面、アカデミックの世界では「自由」市場を求める考えが発達した。リベラル派と自由主義の戦い。(25頁参考)2020/06/04
うえ
2
「ソ連の崩壊が60年代か70年代であれば、ロシア人にとってどれほど楽であったかと思う」それは「西側で政府の介入がはるかに大きな役割を果たしていたし、国の計画と国有企業がごく普通になっていたからだ…どれほど赤字をだしていても政府が資金をつぎ込むのであれば、ロシア人にとってるかに受け入れやすかった」「いまでは左派の政治家も、政府が福祉国家拡大の資金を負担できないと認めるようになり、アメリカのリベラル派も政府の役割の拡大があらゆる問題の解決策にはならない可能性があることを認めるようになった」余り読まれない名著2015/03/15
ELW
1
戦後の世界経済の発展が、貧困と失業の回避に根ざすことがよく分かる内容。よくぞ、各国を調べ上げている。内藤正久なんて通産省四人組事件がら みでしか見ないのに。社会主義国やインドなどが官僚制で失敗したのに、当時の日本の官僚制は優秀だったものだ。『プリンシプルのない日本』を読んでおいてよかった。2015/02/13
HYdaniel
0
下巻まで読了。WW2前〜アジア通貨危機頃までの政治と経済の関係を、欧米・旧ソ連圏・南米・アジアなど、かなり広いエリアで俯瞰した本。以前から読みたかったのを、ようやく入手して読めた。感想・教訓(1)近年の歴史は市場経済を支配的イデオロギーとし、現在では有力な反論が見つからないほどだが、意外に最近までそうではなかった(2)政治はよほど追い詰められるまで経済システムを改革しようとしない、政治権力が磐石なほど変革は遅くなる(3)いざ変革の時には、数週間のうちに猛烈な変化が起きる。2017/01/31
勝気
0
現代史を政治ではなく経済中心に見ると、目からウロコが落ちたように、世界史がわかる。ということかな。2015/12/21