米中対立の先に待つもの―グレート・リセットに備えよ

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米中対立の先に待つもの―グレート・リセットに備えよ

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  • サイズ 46判/ページ数 336p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532177188
  • NDC分類 302.22
  • Cコード C0033

出版社内容情報

中国の膨張主義は永続きしない
中国は「振り子」のように変わる。米中対立は大変化の前奏曲にすぎない。1930年代に類似する世界秩序大変動の可能性を見据え、中国で起こっている変化、米中新冷戦の未来を大胆に読み解く。

〇中国は振り子のように歴史を繰り返す。強固な共産党支配の貫徹、米国に取って代わる覇権追求がいつまでも続くことはあり得ない。「中国共産党は建国以来、やがて米国に取って代わることを企んできた。その野心を隠して西側を騙してきた」という「100年マラソン」説 は誤りだ。中国は今後、どういう要因によって、どう変わるのか。それを正確に予想することこそ喫緊の重要課題だ。

〇世界も大きな変化に見舞われている。コロナ・パンデミックを契機に、世界の経済政策のトレンドが「自由貿易、小さな政府、ネオ・リベラリズム」から「政府の経済介入強化、大きな政府、配分重視」の方向へ転換した。同様の変化は1930年代にも起きた。世界も中国も「歴史は繰り返す」。

〇2020年、中国に大きな変化が起きた。米国と長期持久戦を闘っていく方針を固めたのだ。「米国は衰退に向かっている」という判断が「持久戦を闘えば、時間は中国に味方する」という楽観を生んだからだ。だが、「時間は中国に味方する」ことはない。貧富の格差、不動産バブル、「隠れた政府保証」がもたらす弊害、財政難、少子高齢化などの難問を抱えているためだ。GDPで米国を抜くことはなく、中国経済は崩壊しないものの、「中所得国の罠」への道をたどる。

〇政治面でも軌道修正が避けられない。共産党支配によるタテ単軸制御型システムの限界――「何でも党が指導」体制ではもうやっていけない。老いた文革世代がリードする「中華民族の偉大な復興」という看板は若者から支持されずもう降ろすとき。

〇米中対立は世界の関心事だが、「米中対立」は迫り来る世界の大変化の前奏曲に過ぎなかったことになるような事態が生じる可能性がある。国家権力としての米国と中国(米国政府と中国政府)は共に国内政治経済で抱える問題ゆえに衰退する可能性がある。世界的なインフレの回帰、金利上昇による債務負担増に伴う主要国(日米欧中)の国家財政の破綻懸念が高まる。さらに、国内の分断、貧富の格差の拡大、気候変動リスクに主権国家は揺さぶられている。米中対立が深刻化し、自由貿易体制が縮小し、経済ブロック化が進めば、1930年代同様、世界は大きな試練を迎え、既存の国際秩序が根本から崩れる「グレート・リセット」が到来する可能性がある。

〇そして日本は、米中対立が長期戦になることを覚悟し、台湾有事への対応、安全保障と経済関係のバランスをとるべきこと、自由貿易ルールの遵守、中小国の横断的連帯、米国の動きに先手を打ってイニシャティブを発揮することを説く。

内容説明

中国は今後変わるのか、それはどういう要因によって、どう変わるのかを予測することは、世界中にとっての喫緊事だ。本書は、中国にいま起きている国民意識の変化や経済の変調を読み解いて、この予測を試みる。結果、中国再興の夢は叶わないし、いまの膨張主義も永続きはしない、中国は昔から振り子のように大きく変わる国だと主張する。一方、世界では自由貿易が退潮し、政府の経済介入が増している。また半世紀ぶりにインフレが戻ってくれば、主要国の財政は力を失い、主権国家システムが終焉を迎える可能性もある。後を襲うのは情報技術の担い手だろう。人類は21世紀に想像を超える大変化に見舞われて、「米中対立は大変化の前奏曲でしかなかった」ことになるのかもしれない。

目次

第1部 2020年という転換点(対米長期持久戦に向かう中国;急激な保守化・左傾化―転換点で何が起きたのか)
第2部 時間は中国に味方するのか(突出する「デジタル・チャイナ」―その光と影;「共同富裕」と貧富の格差 ほか)
第3部 「振り子」としての中国(文革世代では中国の新時代を拓けない;中国はまた変わる―「中国=振り子」仮説)
第4部 国際秩序のグレート・リセット―日本はどう生きていくべきか(米中対立にどう臨むか;「グレート・リセット」がやって来る? ほか)

著者等紹介

津上俊哉[ツガミトシヤ]
日本国際問題研究所客員研究員、現代中国研究家。1980年、東京大学法学部卒業、通商産業省入省。通商政策局公正貿易推進室長、在中国日本大使館経済部参事官、通商政策局北東アジア課長を歴任。2002年、経済産業研究所上席研究員。東亜キャピタル取締役社長を経て、2012年より津上工作室代表。2018年より現職。主な著書:『中国台頭』(日本経済新聞出版、2003年、サントリー学芸賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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省事

2
コロナ以後の中国が本格的に「対米長期持久戦」のスタンスを示していることを論じつつ、中国の視点で米中対立を描いたもの。中国ウォッチャーらしく順風万般とはほど遠い中国内政の現況について平易な説明を展開している。情報技術の発展と各国の経済・社会の限界から「グレート・リセット」論という大風呂敷めいた展望も示しつつ、日中関係のあり方、経済安保政策についてプラクティカルな提言がなされているのが読ませる。総じてかなりヘビーな話を書いているのに、著者の文章にユーモアがあり読後感が重くない。ここも評価すべき点だろう。2022/03/28

猫のかずは16歳

0
社長に勧められて読んでみた。2022年2月のほんだけど、この時点でから世界は相当変わったと思う。802024/05/23

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