出版社内容情報
作家・辻原登氏が高く評価する新人作家のデビュー作。本作を読んだあと「結構、文章力、ともに完璧と思える。登場人物たちを支える作者の思想も公平で、よく練られ、書き分けられている。テーマは明確だし、テーマを抽出して行くモチーフと細部の運び方も着実」と評した。
大きくくくるとディストピア小説と言えるだろう。だがドラスティックにSF的な近未来を描くのではなく、すぐそこにある将来の「もうひとつの世界」が読者の眼前には立ち現れる。それは一語一語丁寧に選び抜かれた抑制の効いた筆致による。カタルシスは読み終わった少し後にやってくる。登場人物は限られていて、出来事は閉じられた世界で起こる。その世界の外で起こっていることに読者の想像がいずれ必ずや及ぶからである。現代における「幸福」とは? 主人公の20代の女性が日常を語る言葉にゆっくりとしみ出してくる。本作を読んだ何人かの書評家からは異口同音に「カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の世界をほうふつとさせる」という声が寄せられた。
内容説明
今まさに消滅しようとしている国がある。最大多数の最大幸福のための選択が、やがて多くの国民に生への嫌悪感を抱かせるようになった。あるのは勝者と敗者、嫉妬、羨望、憎悪…。この国を訪れた文化人類学者がひとりの若い女性と出会った。彼女は国により選別され、多くをあきらめて生きてきた。しかし「私は私を殺さなかった」。彼女が静かに語り出したのは―
著者等紹介
仲野芳恵[ナカノヨシエ]
1979年北海道生まれ。都留文科大学卒。中学教諭のかたわら創作を続け、『幸福な星』で作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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