内容説明
幕府の軍艦・咸臨丸でともに渡米して四十年。在野で文明開化の旗手となった諭吉は晩年、なぜ武士道を賛美し海舟を厳しく批判したのか。近世から近代へ。日本の何が変わり、何が変わらなかったのか。
目次
第1章 幕臣・勝海舟―幕府は先進的だった
第2章 中津藩士・福沢諭吉―幕臣への憧れ
第3章 幕臣たちの国家思想―共和政治論と将軍絶対君主論
第4章 それぞれの選択―明治維新を前に
第5章 維新を生きた二人の幕臣―明治政府と海舟と諭吉
第6章 文明開化と武士道―なぜ諭吉は海舟を批判したのか
終章 『氷川清話』と『福翁自伝』の虚実
著者等紹介
安藤優一郎[アンドウユウイチロウ]
歴史家。文学博士(早稲田大学)。1965年、千葉県生まれ。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業、早稲田大学文学研究科博士後期課程満期退学。江戸をテーマとする執筆・講演活動を展開。JR東日本大人の休日・ジパング倶楽部「趣味の会」、東京理科大学生涯学習センター、NHK文化センターなど生涯学習講座の講師を務める。NHKラジオ深夜便「大人の旅ガイド」レギュラー出演中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫
11
福沢諭吉の幕末と明治、といった趣の本。タイトルに同列に並べているので公平に比較しているのかと思ったが、全体的に福沢目線で綴られている。少ない参考文献の中で、さらに海舟の名の入っているものは1冊だけ。丹念に読めば1冊で十分な史料であるその本も、必要な個所をつまみ食いしただけに見える。幕末明治の人物を評価するのに全期間の人生通して検証する必要があるとあとがきにあるが、それを対海舟に行っているとも思えない、タイトルから見れば片手落ちの本。諭吉好きな人向け。2016/03/01
maito/まいと
3
「幕末維新消された歴史」著者の新刊。タイトルの通り、一見接点の薄そうな二人の人生を、当時の情勢と照らし合わせながら実像に迫っていく1冊。前作同様、非常にわかりやすく、かつ興味をそそる構成で、考えさせられる内容でした。勝海舟については既知の事が多かった反面、福沢諭吉の人生については意外に知らない事が多く、非常に勉強になりました。が、相反する要素を抱えながら、己の信じる道を模索する諭吉の姿は世間に知られる諭吉のイメージよりはるかに人間臭く、結果だけでは見えない課程に新たな魅力を感じましたねえ。2011/06/01
メルセ・ひすい
1
15 日本近代化の旗手のイメージが強い福沢諭吉と、江戸っ子の代表格として人気の高い勝海舟。このふたりの“神話”を剥ぎ、幕末維新に新たな光を当てる。「幕末維新消された歴史」で注目された著者の最新作。2011/05/29
しわじい
0
福沢諭吉に勝海舟を批判した「瘠我慢の説」というのがあるらしい。福沢は江戸の町が火の海になって死傷者が大勢出たとしても、人としての根本の部分を失くしてしまったら、江戸を守ってもそのあとの日本という国がなりたたなくなると言いたかったみたいだ。なるほど、とてもわかる。分かる気がするけど、それでもそのあと明治政府に参画して日本をよくしようとした勝の方が大人のような気もする。なかなか難しい。2014/05/19
jupiter68
0
手紙や著作からの引用が多い。本人たちの生の声という意味ではいいが、いかんせん読みにくい。これは難点。一方で、幕末の暗殺者が跋扈するような世の中にも関わらず、両者ともに堂々と生きている。もっている知識の量に比例する度胸と自信には敬服する。私もかくありたい。2017/05/09
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