出版社内容情報
戦国乱世を終焉させ近代の扉を開いた信長。この桁外れに器の大きな男はいかに形成されたのか。因習を打破し日本を造り変えようとした真意は何か。謎を追い戦歴の軌跡をたどって、改革者信長を鮮烈に描き出した傑作。
内容説明
旧体制を打ち壊し、西欧列強に対抗しうる日本を造ろうとした信長。もう一人の天才前久との宿命の対決。最新研究による書き下ろし意欲作。
目次
第1紀行 信長のゆりかご
第2紀行 骨肉相食む
第3紀行 決戦桶狭間
第4紀行 岐阜に立つ
第5紀行 電光石火の上洛
第6紀行 比叡山焼き討ち
第7紀行 信長包囲網
第8紀行 前久との蜜月
第9紀行 ヴァリニャーノの要求
第10紀行 本能寺の変
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年福岡県生まれ。国立久留米高専卒業後、作家を志して上京。区立図書館に勤めながら同人誌で作品を発表。85年退職。89年から1年間「週刊新潮」で「日本史血の年表」(本は『血の日本史』に改題)を連載し、衝撃的なデビューをした。その評価から、「隆慶一郎が最後に会いたがった男」という“伝説”が生まれた。その後、次々と力作を発表し、歴史小説の次代を担う気鋭の作家として大きな期待を集めている
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感想・レビュー
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鬼山とんぼ
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安倍龍太郎ファンにとっては見落とせない重要な一冊。信長の一生を事跡を丹念に訪問して歴史に真実に接近しようとする作者の誠実な姿勢が窺われて、好感が持てた。今では信長の行動の背景にはキリシタン経由の物資や技術、社会秩序の感覚があったことは明らかだが、それが朝廷や公家、寺社勢力の軽視につながることを恐れた近衛前久や誠仁親王が明智光秀をそそのかして本能寺の変が起きた。この後前久が登場したり、キリシタン大名を扱う作品が増えたのは当然の流れだろう。同時期を描く若桑みどりの大作「クアトロラガッツィ」の併読を勧めたい。2018/02/12