内容説明
日本国家は歴史的に「国籍」のみならず「民族」「血統」といった概念を、「戸籍」という装置を用いて操作してきた。戸籍は近代日本においていかにして誕生し、国籍と結びついて「日本人」を支配してきたのか。日本独自と言われる制度の存在意義を問う画期的試み。
目次
第1章 戸籍とは何か―「日本人」の身分証明
第2章 国籍という「国民」の資格―日本国籍と戸籍の密接性
第3章 近代日本と戸籍―「日本人」を律する家
第4章 植民地と「日本人」―戸籍がつかさどる「民族」「国籍」「血統」
第5章 戦後「日本人」の再編―「帝国」解体と「帝国臣民」の戸籍と国籍
第6章 戸籍と現実のねじれ―開かれた制度となるには
著者等紹介
遠藤正敬[エンドウマサタカ]
1972年生。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。早稲田大学台湾研究所招聘研究員、宇都宮大学、埼玉県立大学等で非常勤講師。専攻は政治学、日本政治史、東アジア国際関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
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coolflat
21
昨今のヘイトスピーチ(朝鮮、台湾、旧植民地差別)や部落差別、夫婦別姓問題、セクシャルマイノリティ、沖縄差別やアイヌ差別など、日本にあるあらゆる差別の根源は、世界で日本にしかない『戸籍制度』にあるといっても過言ではない。戸籍制度の問題は、国家権力が国民を管理・監視するツールとして、戸籍制度を扱っているところにある。他国の様な「個人」を単位としたものではなく、「家族」を単位としているのが重要な点だ。個人の身分変動と親族関係を時系列的に把握できるという点で、他国の身分登録制度にはない特徴を戸籍制度は持っている。2016/10/15
てくてく
3
日本人とは何によって証明できるのだろうか。日本人と外国人を分かつものとは何か。日本において外国人とはどのようなものとして見られているのだろうか、といったことを考えさせられる力作。台湾、朝鮮半島、満州、沖縄、樺太といった地域を日本に取り込もうとし、その関係で日本人概念を拡大し、支配の対象としながらも、戸籍によってその中に差別的取り扱いを残し、それが現在にも残っているという点が面白かった。<おすすめ>2014/12/06
こずえ
1
昨今、二重国籍の議員が話題になったが戸籍と国籍についての歴史をしっかりと学ぶにはこれがよかった
bvbo
0
自分が生きてる間に現在の戸籍制度がどれだけ改正されるのだろうか。実生活に沿った改正がされるといいのだけれど。☆☆☆2016/03/19
政吉
0
面白いところに目をつけたなー。戸籍と国籍がこんな風に結びついて「日本人」という概念を伸縮させてきたんだね。知らないことばっかりで、ある意味衝撃だった。2013/12/21