出版社内容情報
大好評『養老孟司・学問の挌闘』の続編。脳と意識、脳とカオス、脳と機械(コンピューター)をテーマに、一級の若手研究者と養老教授が、学問のフロンティアを開拓すべく瑞々しい論争を展開。読者を激しく挑発する。
■目次
まえがき
Round 1 脳にせまる機械
1 コンピューターに生物はつくれるか
生物をシステムとして理解する(北野宏明)
コンピューター世界の遺伝子と発生(養老孟司×北野宏明)
専門家でないからできる研究/誤差の大きさもデータの一つ/
CPUが細胞になる/真の姿に近づくための努力/酸素だって
毒になる/生物はご都合主義/人工知能にも皮膚感覚を/
2 小脳に知の原点をさぐる
コンピューターで脳の働きをまねる(川人光男)
想像以上に大きい小脳の役割(養老孟司×川人光男)
結果より過程をまねる/脳の中に数式はない/「体が覚える」
の仕組み/脳のパーツの不思議な関係/思考の深さ決める
小脳の三角形/ヒトとサルを隔てるもの/コミュニケーションの
本当の目的/
3 欲望をもつコンピューター
脳型コンピューターをめざす(市川道教)
欲望をもたせた機械とは(養老孟司×市川道教)
ほんとうは単純な脳/忘れてはならない「欲」/論理だけでは生
きられない/頼りない意識/いまの社会は意識中心主義/黒く
見えるシロクマ/虫と話せる日/
4 コンピューターの人間らしさとは
機械に「恩義」を感じる(竹内勇剛)
機会の人間らしさとは何だろうか(養老孟司×竹内勇剛)
機械にだって感謝する/日本人は義理がたい/主体はメディア
か、人間か/真実は誰も知らない/その判断の根拠は何?/
人間だって物体だ/他者としてのコンピューター/
Round 2 多様性にあふれた脳
5 カオスで脳をさぐる
アナログ性と非同期性に着目(合原一幸)
カオスで見た生物を脳(養老孟司×合原一幸)
カオスで解く最適化問題/存在するモノはつくれる/個性が強い
昆虫の脳/においの中枢は高級?/ヤモリの目、人間の目/期
待大きい工学の役割/
6 バーチャルリアリティーの見果てぬ夢
相対性理論の世界も体験できる(廣瀬通孝)
脳と仮想現実(養老孟司×廣瀬通孝)
広がる思考の枠/研究に二つの方向/純粋な世界から汚れた
現実へ/脳の進化とよく似た展開/心配ない? TVゲームの悪
影響/脳はだまされたがっている?/同一性から違いの科学へ/
7 脳が紡いだ言葉の世界
言語理解のプロセスをさぐる(辻井潤一)
言葉が教える脳の世界(養老孟司×辻井潤一)
人間にはなぜ「言葉がわかる」のか/言葉はコミュニケーション
手段か/抽象概念を操る能力はどこから生まれたか/「101番目
の現実」という幻想/日本人はなぜ議論下手か/役に立たない科
学は悪いのか/
8 視覚から覗く心の不思議
主観的知覚体験をさぐる(下條信輔)
知覚のあやうさ(養老孟司×下條信輔)
存在しない「一瞬の現在」/ポケモン事件と神経のリズム/
目のシャッターは脳が切る/知覚する脳、知覚される脳/子供は
なぜキレるのか/人は遺伝でどこまで決まる?/自由意思とは何か/
Round 3 脳と心の正体
9 心がやどる場所
心をニューロン発火で理解(茂木健一郎)
脳が世界をつくり出す(養老孟司×茂木健一郎)
社会は自然を排除する/いいうそ、悪いうそ/超越的なものに向か
わぬ日本/現代の踏み絵/官僚答弁と日本語/江川に勝てない
東大教授/研究に大切な“実感”
10 脳は複雑さを好まない
マップ形成の原理をさぐる(田中 繁)
脳の構造と機能をめぐって(養老孟司×田中 繁)
自己組織化が生み出す機能/遺伝か環境か?/ガリレオのうそ/
脳からこぼれたサイエンス/天才とは何か/構造生み出す競争原
理/論文は推理小説/
11 脳の最終的な記述は可能か
動的に脳を見る(津田一郎)
言葉が教える脳の世界(養老孟司×津田一郎)
西洋流の科学を超える/現在の学問の重苦しさはどこからくるか/
逞しい学問をつくる/学問は極端に走らないとおもしろくない
あとがき
内容説明
理と知をそなえた教養世界へ!逞しく才気あふれる若き科学者と現代を鋭く見通す養老教授との瑞々しいバトル。脳科学は新しい“宇宙”へ突入する。
目次
1 脳にせまる機械(コンピューターに生物はつくれるか;小脳に知の原点をさぐる;欲望をもつコンピューター;コンピューターの人間らしさとは)
2 多様性にあふれた脳(カオスで脳をさぐる;バーチャルリアリティーの見果てぬ夢;脳が紡いだ言葉の世界;視覚から覗く心の不思議)
3 脳と心の正体(心がやどる場所;脳は複雑さを好まない;脳の最終的な記述は可能か)