出版社内容情報
低迷する福祉国家から脱却した英国。官僚による市場統制に失敗した日本。混迷のロシア。全世界で繰り広げられてきた政府と市場との格闘を、ピュリッツァー賞受賞の筆者がいきいきと描く超大作。アジア危機を受け大幅改訂した日本語オリジナル版。
内容説明
市場は勝利したか?誰が経済の舵をとるのか。資本主義の歴史と未来を斬新な切り口で描き、世界を唸らせた力作待望の邦訳。日本語版のために緊急大幅加筆。
目次
第8章 許認可支配の後に―インドの覚醒
第9章 ルールにのっとったゲーム―中南米の新しい潮流
第10章 市場行きの切符―共産主義後の旅路
第11章 苦境―新たな社会契約を模索するヨーロッパ
第12章 遅れて起こった革命―アメリカの新たな均衡
第13章 信認の均衡―改革後の世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
25
下巻には、インド、中南米、ソ連崩壊後のロシア、ヨーロッパ、米国と全体のまとめが記されています。20世紀末に書かれたもので今からすると古いのですが、各国家の経済的な体制などを分析していて、その後の世界状況を予測している点では歴史的に重要な文献であると感じました。2014/11/22
さきん
5
行き過ぎた保護も良くないし、行き過ぎた自由化も良くない。バランス感覚が国家運営に問われる。また再分配も別の話である。多国籍起業は強くなりすぎると、国家の範疇に負えなくなる。2015/07/08
日の光と暁の藍
2
経済に対する著者のバランスの取れた見方が、この本を面白く魅力的なものにしているのだと読後に気付いた。著者は本書の最終章の中で、政府と市場の境界を決める五つの基準を挙げている。成果をあげているか、公正さが保たれるか、国のアイデンティティを維持できるか、環境を保護できるか、人口動態の問題を克服できるか、の五つである。翻訳者の山岡氏があとがきで述べているように、本書は「人と考え方に焦点を合わせている」(P323)ため、経済書として大変読みやすい記述になっている。世界経済に興味がある人にオススメ。2014/03/04
Hisashi Tokunaga
1
メモ再読;「信認」をキーワードに国家と市場のいずれが信頼されるうるか。市場が持つリスクが国家以上の信認を獲得できるかが、グローバル化する世界が注視しなければならない課題。軍事政権は国家を最小限に機能させる信認体系だがその成否はほぼ決したようだが、歴史を飲み込んだ国家は信認幻想をばらまくとすれば、市場が国家に打ち勝てるだろうか? 読んだのは20年前くらいだったか?感想;「有権者は数年に一度しか投票しないが、市場は一分ごとに投票している」(P281)と断定するまでに至る論述が本書の真骨頂。(2013・3記)2018/07/19
Hiroshi Obara
0
まさに第二次世界大戦後の政治経済は市場対国家だったのだと言うことがよくわかるドキュメンタリーだった。 もっともっと経済のことを知りたくなった。2016/10/29