内容説明
今世紀最高の外交史。リシュリュー、ビスマルクから現代まで、為政者達の思想を通して近現代外交の全貌を描く世界的話題作。
目次
新しい世界秩序
アメリカ外交政策の軸
普遍性から均衡へ
ヨーロッパ協調
二人の革命的指導者
リアルポリティークの独走
破滅に至る政治的仕組み
渦の中へ
外交の新顔
戦勝国のジレンマ〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
30
上巻最後の「冷戦の始まり」でもまだトルーマン大統領の時代で、キッシンジャーが直接関与する時代までには、まだアイゼンハワー大統領、ケネディ大統領の時代があります。 ただ、下巻は自分も知っている時代なので、上巻よりは読みやすくなるのではないかと期待。 それとこの本の中では、バランス・オブ・パワーはイギリスのお家芸とのこと。最近歩いている時によく聞いているケネディ大統領の就任演説の中に出てくるニュー・バランス・オブ・パワーはどういう位置づけになるのかが知りたいところ。下巻で解説してくれることを期待してます。2022/10/04
大森黃馨
9
昨年11月末に亡くなられたアメリカ外交の重鎮キッシンジャー博士による外交についての教科書的な著作 上巻では第一次世界大戦前から第二次世界大戦終結後数年の時期までメインであり更にその基本となった17世紀からのヨーロッパの国際政治と外交の思想それらにも触れられていている こうした類の書は自分が思うに一見関係の無さそうな例えばなろう系小説の書き手なりスピリチュアルや哲学に関心を持つ者も一般教養としてやはり読んでおくべき書なのではなかろうか(続く)2024/02/12
人生ゴルディアス
8
超絶特濃近現代史。学校では時間不足でおざなりになりがちな17世紀からの世界史が、これでもかと詰め込まれている。しかも無味乾燥な事実の羅列に終始するのではなく、キッシンジャー流の分析が加えられ、それが実に明快でわかりやすい。しかも、とにかく面白い! 国家の存亡を賭けた壮大なチェスゲームみたいに話が進められるので、飽きることなく読み続けられた。また、実際に政治の場にいた人間の歴史観を見ることで、現在の政治の場の土台をなす歴史観もこんな感じなんだろうなとか思いながら読めた。問題は、膨大な情報量だ・・・2016/08/07
鮫島英一
4
この著作は外交という極めてデリケートな部分にスポットをあて、歴史の分岐点でいかにその役割を果たしたのか丁寧に説明している。 ただし、問題もある。 外交史を理解するには、西洋史を理解しなければいけない。 著作で扱ってる西洋史が頭に叩き込まれている方向けの作品なので、決して敷居が低い作品ではない。 かくいう僕は、この著作を理解するために二度挫折し、そのたびに西洋史を学び直し、三度目ですべて読破できました。 そこまでさせる魅力が、この著作にはありますね。2019/11/04
フンフン
4
17世紀から20世紀までの外交を概観する。上巻はリシュリューからF・D・ルーズベルトまでをあつかう。とくにスターリンの悪魔的な外交術の冴えを描いた部分は秀逸。独ソ不可侵条約が結ばれた時、それまで日独防共協定強化問題で小田原評定を続けた平沼内閣は「複雑怪奇」の迷文句を残して総辞職したが、本書を読めば、第1次大戦の当事国でありながら講和会議に参加を許されなかった独ソ二国が結びつく必然性がよくわかる。ヒトラーとスターリンにもてあそばれるばかりの松岡のような人物を外務大臣にすえた日本は不幸だった。2015/04/22