マクロ実証会計研究

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マクロ実証会計研究

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  • サイズ 46判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784532135010
  • NDC分類 336.9
  • Cコード C3033

出版社内容情報

◆本書では「マクロ実証会計研究(Macro-Accounting)」と呼ばれる研究を紹介する。「マクロ実証会計研究」では、個別企業の会計情報をそのまま分析せずに、実証分析に入る時にまず平均や合計等の方法で国内の上場企業すべての会計情報をひとまとめに「集約」する。
例えば、国内の上場企業の利益率を平均すれば、それは国内上場企業全体の経営状態を表す情報となる。上場企業の平均利益率が高まれば、それは上場企業の業績が一般に改善していることを示すからである。また、国内の上場企業の利益率の標準偏差を取れば、それは国内上場企業の業績格差を表す情報となる。
このように企業の会計情報を個別に見るのではなく、一国の上場企業を総体としてとらえる情報を作ることで、会計研究者が財務会計の機能としてあまり想定してこなかった使い方もできるようになる。その代表例が、上場企業の会計情報を用いたマクロ経済研究である。

◆近年、このような国内上場企業の会計情報をひとまとめに集約(aggregate)することで、普段我々が生活する上で感じる身近な疑問に取り組む研究が米国を中心に現れている。「国内の代表的な企業である上場企業の業績が改善すれば、国内の景気は改善するのだろうか」「上場企業の業績が改善すれば、従業員や労働者の賃金、失業率は改善するのだろうか」といった疑問に対する研究である。
こうした研究は、本来マクロ経済学の研究の対象になるものであり、企業ごとの会計情報というミクロデータを扱う会計研究者には、なかなか手が出ない領域であった。しかし、個別企業の会計情報をひとまとめに集約することで、上場企業がどのようにマクロ経済と関連し、またマクロ経済を動かしているのかについて、データを用いて分析できるようになる。

◆本書では主に、こうした会計情報とマクロ経済との関係についての研究を取り扱う。「会計はミクロの世界のお話さ」と考えてきた方には、「会計をマクロの視点から考えることもできるし、面白いですよ」とお伝えしたい。新しいジャンルの実証的な財務会計研究を知りたい方は、ぜひ読み進めていただきたい。

内容説明

企業データ集約から拓けるフロンティア。「GDP予測に役立つか?」「業績格差のマクロ的影響は?」「ファイナンス研究とどう接合する?」―データ分析が可能にする新しい研究領域の世界。

目次

第1章 マクロ実証会計への招待(財務会計研究ってどんな研究?;財務会計研究の主流、実証分析 ほか)
第2章 マクロ経済予測における会計情報の有用性(日本で期待される集約会計情報の活用方法―GDP1次速報値と2次速報値の乖離の縮小;法人企業統計調査の結果を発表前に予測できるのか ほか)
第3章 集約利益と将来のGDP成長率との関係の源泉はどこにある?(エビデンスベースで議論することの重要性;企業の業績改善の後に増えるのは、消費か投資か ほか)
第4章 業績格差の特徴とその経済予測への活用(日本企業の利益率の特徴;日米の上場企業に見られる業績格差の傾向 ほか)
第5章 マクロ実証会計研究の展望(マクロ実証会計研究を拡張する方向性;マクロ実証会計研究の拡張方向・その1―既存の発見事項を活用する ほか)

著者等紹介

中野誠[ナカノマコト]
一橋大学大学院経営管理研究科教授。博士(商学、一橋大学)。1995年一橋大学大学院商学研究科博士課程単位取得満期退学。一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、商学研究科教授を経て2018年より現職。この間、日本銀行金融研究所客員研究員、シドニー大学ビジネススクール客員研究員、ASBJ無形資産専門委員、公認会計士試験委員を務める

吉永裕登[ヨシナガユウト]
東北大学大学院経済学研究科准教授。博士(商学、一橋大学)。2018年一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了。同年4月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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サンセット

2
GDPなどマクロ指標発表後の、個別企業の会計情報の反応など見るのがMacro-to-Micro。個別の会計情報を集約して指標の予測などするのがMicro-to-Macro。会計利益(12か月分)と株式リターンの推移を見ると、発表前の1年間でほぼ株価が織り込まれている(1968年)。GDP速報値には法人企業統計の情報が入ってないが、上場企業の集約利益を入れると改善する(GDPの営業余剰は税引後営業利益に近い)。集約利益が増えると、企業投資(→PPI)は増える可能性あるが、家計消費(→CPI)は反応しない。2023/08/17

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