出版社内容情報
宮部 みゆき[ミヤベ ミユキ]
著・文・その他
内容説明
真っ赤な朝焼けの中、娘が一陣の風とともに忽然と消えた。居合わせた父親が自身番に捕らえられるが、自ら命を絶ってしまう。不自然な失踪に「神隠し」を疑うお初と右京之介。探索を始めた二人は、娘の嫁ぎ先に不審な点があることを突き止める。だがその時、第二の事件が起こった。霊験お初シリーズ第二弾。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年東京都生まれ。’87年『我らが隣人の犯罪』でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。’89年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞後、’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞長編部門、同年『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、’93年『火車』で山本周五郎賞、’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞、’99年『理由』で直木賞、2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞、’02年司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞文学部門、’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
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yoshida
145
商家の娘の神隠しが続く。拐かしではなく神隠しなのだ。霊験お初シリーズ第二弾。お初の兄の六蔵は岡っ引きであり、事件を追う。徐々に顕になる虚実の入り混じった事件の謎。霊感による場面もあり多少の好みは別れると思う。私は気にならなかったのは、宮部みゆきさんの筆力によるものだろう。怪異でも現実でも、やはり根底に流れるのは人の感情。勿論、良い感情だけではない。高慢、嫉妬、嫉みもある。誰しもが持つ感情ではある。だが、そこにどう折り合いを着けて生きるか。負の感情にとらわれ過ぎずに生きる。その先に幸福が待つと思う。力作。2020/01/09
mocha
106
美しい娘達が神隠しにあい、観音様の姿をしたもののけが目撃される。自信を取り戻して頼もしくなった右京之介や、喋る猫達に助けられながら、お初も六蔵チームも大活躍。ブサイクでも心根の美しいお美代ちゃんと、板場の加吉さんがいいキャラだった。美しくありたいという願いは嫉妬や劣等感と隣合わせ。「私きれい〜?」と聞く妖怪を思い出した。前作より入り込んで読めただけに、続きがないのが残念。2017/09/15
ふじさん
102
霊験お初捕物控第2弾。下駄屋の娘おあきと八百屋の娘お律が相次いで神隠しに遭う。そのつむじ風から魔風の存在を感じ取ったお初は、算学の道場に通う右京之介とともに、忽然と姿を消した娘たちを追うことになった。もののけに翻弄され、調べは難航する。何かと彼らの力となる3匹の猫の存在と活躍が読ませる。登場人物の深層心理に踏み込んだ筆致、更には、なじみの天狗とは違った妄念を持つ魔物であるところに、作者の着想の良さと周到さ、構成力の巧みさに改めて感心した。第1弾を上回る作品、まったく古さを感じない。2023/06/16
ぶち
86
捕物帖+怪談+人情話の『霊験お初捕物控』の第2弾。犯行の動機や事件捜査の深さも、人情描写も、ページ数もすべてパワーアップ。宮部さんの捕物ワールドを堪能しました。今回は特に猫の可愛さにメロメロとなってしまいました。小生意気な猫の"鉄"とお初の会話がとにかく可愛い。お初の義姉さんが一目見るなり鉄にデロデロになっちゃって… ここにも猫の下僕がいました! まだ若く修行不足な鉄はお手本がないと化けられません。それが伏線となっての最後は、とても切なく涙が出てしまいました。でも、姉妹屋に戻ってきたんだと信じています。2025/04/12
タツ フカガワ
71
血のような真っ赤な朝焼けのなか、疾風が駆けぬけた後に娘が忽然と消える神隠しの真相にお初が迫るシリーズ2作目は、もののけ度も異界度もさらに深化。しかも謎が謎を呼ぶ探索は、手掛かりの糸が四方八方に絡まってこの先どうなるかと思っていましたが、見事な結末でした。読了後あらためて「魔が差す」を辞書で調べてしまいました。2020/05/02