経済データと政策決定―速報値と確定値の間の不確実性を読み解く

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784532134617
  • NDC分類 332.107
  • Cコード C3033

内容説明

データはどこまで不完全か?日々扱う経済データの速報はいずれ改定される。速報値と、のちに加工された確定値との間に潜むギャップが、しばしば意思決定の場で読み違いを引き起こす。状況に応じてデータの不確実性をどう見抜き、妥当な判断をどう行うべきか。1990年代以降の経済政策の分析を通じて数値データの解釈と読み方を検証する。

目次

序章 「リアルタイムデータ」とは何か
第1章 マクロ統計データの不確実性
第2章 1990年代の財政拡張政策の効果―政策効果は低下したのか
第3章 政策スタンスからみた財政政策
第4章 認知のラグの影響―消費税増税における駆け込み需要と反動減は予測できない
第5章 不確実性の高まりとゼロ金利政策の解除をめぐって
第6章 消費者物価指数の基準改定と予測可能性―2006年8月のCPIショック
第7章 データ改定のもとで予測をどのように行うのか
終章 リアルタイムの政策評価

著者等紹介

小巻泰之[コマキヤスユキ]
1962年京都生まれ。86年関西学院大学法学部卒業、2001年筑波大学大学院博士課程単位取得退学。ニッセイ基礎研究所、大蔵省財政金融研究所客員研究員等を経て、日本大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

107
最近いつも思っているのですが、速報値と実際の値との間の乖離が結構大きくなっていることがあります。経済政策や金融政策のためには早く正確な計測値がほしいのでしょうが、そのための整備というよりも早めに取れるデータや海外のデータなどで対応していくてもあるのではないかと思われます。様々な問題点を提起してくれる本で、各章の後にまとめをつけてくれているのも参考になります。2016/02/24

壱萬弐仟縁

17
各章のポイントが箇条書きされているので、気になったものを抽出しよう。統計データの改定は真の状況を反映する過程なら必要、方向予測できれば速報値での判断可。予測できなければ問題(22頁)。GDPギャップの推計:方法で結果が大きく異なる(66頁)。消費増税では、駆け込み需要と反動減は事実だが、その規模や発生期間は推計値としてしか把握できない(192頁)。意思決定は速報データを重視して行われている。リアルタイムデータによる推計のほうが予測精度は高い(287頁)。2015/08/04

koji

7
刺激的な書です。著者の主張提言は次の通りです。「日本は速報を重視して政策の意思決定を行っているが、日本の統計データは速報からの改定には計測誤差が含まれている可能性が高く、改定後のデータを予測することは困難。まして当局と雖も民間と予測力に大きな差異はなく独自の私的情報を有していないこと。その中で、総合的な政策運営には欧米で進められているリアルタイム(意思決定時)のデータベース整備が欠かせないこと」。結論に賛成ですが、もう一つ分からないのは、①なぜ日本は立ち遅れているか、②欧米にどのような成功例があるかです。2016/01/19

ゆき

2
意思決定に使う統計がいかに不確実なものであるかを解説した本。章末ごとに要点が箇条書きしてあるのでそこを拾うだけでも勉強になる。結論、統計データは様々な理由から不確実性を含んでおり随時改訂される。なので、データを利用するにはデータの不完全性さを認識していなければならない。今後、データをより有用なものにするためには、リアルタイムのデータベースの構築と解放が必要である。それから、過去の政策を評価する際には、政策の決定プロセスや、政策決定時と評価時では扱える統計データの質・量が違うことにも注意しなければならない。2015/12/22

suzy

0
速報値と改定値の分析など新たな視点で書かれてある実務的な本2018/11/17

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