内容説明
顧客のニーズをダイナミックにとらえ、競争優位を構築し、資源・技術を利用蓄積し、人の心を動かす―。良い戦略のエッセンスを理解し、戦略策定に欠かせない構想力を磨き上げる。進化し続けるロングセラーテキストを全面改訂。
目次
第1部 戦略の基礎概念(経営戦略とはなにか;ビジネスシステムと見えざる資産)
第3部 ダイナミック適合の論理(顧客のニーズをダイナミックにとらえる―戦略の顧客適合;競争優位をつくる―戦略の競争適合;資源を有効利用し、資源を効率的に蓄積する―戦略の資源適合;技術を活用し、技術を進化させる―戦略の技術適合;人の心を動かし、刺激する―戦略の心理適合)
第3部 不均衡ダイナミズムの戦略(市場創造の戦略―製品戦略の不均衡ダイナミズム;ビジネスシステムが成長をドライブする―ビジネスシステムの不均衡ダイナミズム;オーバーエクステンション戦略―見えざる資産の不均衡ダイナミズム)
著者等紹介
伊丹敬之[イタミヒロユキ]
東京理科大学大学院イノベーション研究科教授。1945年生まれ、67年一橋大学商学部卒業、72年カーネギー・メロン大学経営大学院博士課程修了、一橋大学大学院商学研究科教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅー
6
★★★初読時は冒頭から三国志や孫子への言及があり、おっさん向けのビジネス誌みたいで引いてしまった。しかし色んな経営本を読んだあとで手に取って、非常な良書であることを理解した。用語が類書と若干異なるので戸惑う部分もあったが、タイトルどおりに色んな戦略の論理を網羅している。具体例は少なめに抽象度の高い議論がされるので、そこに自分の知っている具体的なケースを当てはめて考えてみるのが良い頭の体操になった。今回、久しぶりに再読しても全く内容が古びていない。この著者は本書と『場の論理とマネジメント』がベストだと思う。2024/08/21
Kiyoshi Utsugi
6
この本の初版が出たのはかなり古く1980年で、まだマイケル・ポーターが「競争の戦略」を米国で出版した頃で、日本では馴染みがなかったと時です。 第4版では「競争の戦略」の話が出てきたり、Google,Amazon,Appleといった、今ではGAFAと呼ばれる企業も登場してました。書かれていなかったのは、Facebookぐらいでした。 クロネコヤマトの宅急便は、第4版でも取り上げられています。よほど強い印象があったのだと思います。 経営戦略の「なに」と「なぜ」を比較的分かりやすく語っていました。2019/12/16
タケヒロ
5
ところどころ繰り返しが多くて読みにくいが、戦略の具体的方法を理解を深める言葉で変換して説明してくれている名著である。企業は情報の蓄積物。みえざる資産が大事。これは個人にもいえること。不均衡がなければあるべき姿にも到達できない。松井証券の松井社長の捨てる決断2-1=3、そしてその理由が印象的。不均衡ダイナミズムをあえてイノベーションという言葉で説明していないのは意図的なのではないか。経営学版の成功の法則本である。2015/01/18
たか
4
経営戦略を企業のもつ複数の資源との適合からとらえ、さらに静的な最適化ではなくあえて不均衡を生み出すダイナミックな経営戦略のあり方を示す。シュンペーターの創造的破壊のような趣がある。仕事の現場にはカネの論理、情報の論理、感情の論理が流れている。カネの話はもちろん大事だが、財務指標に現れてこない知識の蓄積や人々のモチベーションを見落としてはいけない。短期的な経済性のみを見るのではなく、絶えず均衡を破壊してストレッチなゴールを目指す戦略を目指す必要がある。2024/07/06
デューク
3
「経営の本質とは、「いまだあらざる姿」を求めるところにある」。経営学の重鎮による、人間心理にまで踏み込んだ経営戦略。 戦略に目標を入れない理由、情報的資源の特性、事業の絞り込みが必要な心理的理由、顧客の種類、競争の武器の変遷、事業の相乗効果を生み出す方法、技術の本質、組織に勢いをつける定跡、などなど。とことん理詰めで論理を語り、現状に即した心理面のフォローも忘れない。剛柔併せ持った、経営戦略論の古典的名作。おすすめ2019/06/14