内容説明
銀行家にして奇才の陶芸家、川喜田半泥子の本格的伝記。健全経営で金融恐慌を乗り切る偉大な銀行家の自由奔放“無茶苦茶”な「遊び」ぶり。会津八一、魯山人、小山冨士夫らとの交遊もまた興味津々。
目次
南瓜の花
大伝馬町
木綿の味
紺の暖簾
紅梅閣
百五銀行
金融恐慌
焼物はじめ
千歳山窯
無茶法師
内観法
千社札
朝鮮窯焚き
泥仏堂日録
山里茶席
常識茶会
乾山研究
銀行合同
風雅交
金殿玉楼
窯の神様
柱の疵
春の魚
慶世羅世羅
終焉
年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふくみみ
3
半泥子の魅力は、陶芸などに明るくない私には捉えどころが難しい。褒め称える文を読むと、銀行頭取を勤めた財力におもねって、美がわからない私はそれを丸呑みしているだけなのではと不安になる。しかし、作品を目にすればその不安は氷解する豊さを持っている。半泥子の作品は、たくさん作っても玄人じみた枠に収まらない創意と、良いものを見いだせる確かな目、そして生活のために陶芸をせずに済んだ財力で成り立っている。本書にも茶目っ気溢れるエピソードが多く楽しい。KJ法の川喜田二郎が氏の三男であることを確かめられたのも良かった。2011/09/17
BsBs
0
「東に魯山人あり、西に半泥子あり」と称えられた大正昭和の茶人、陶芸家、風流人の川喜田半泥子。利休や織部にも叶わなかった自身が設計した茶室で、自身が焼いた茶碗で茶の湯を開く究極の茶道を実現したのは、彼の類まれなる美に対する感性だけではなく、大商人の出自により金銭的、時間的なゆとりにあったことは間違いない。美に対する姿勢は大いに尊敬し見習いたいと思うものの、貧しい身の上では素直に従うと加藤唐九郎のように身を滅ぼしそうだ。性格が悪いので、半泥子自身も大金持ちに生まれてなかったらどうだったかなと邪推してしまう。2024/08/11
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