内容説明
ナチス強制収容所での極限の体験を綴った世界的なロングセラー『夜と霧』で有名な精神科医V・E・フランクル。彼は、この体験を通して得た「人生の本質」についての思想をもとに、私たち一人一人に宿る「ロゴス」(愛、生命力、原理)を目覚めさせる「ロゴセラピー」を開発し、多くの人々の深い心の傷を癒しつづけた。本書は、こうしたロゴセラピーやフランクルの遺した言葉に基づきながら、私たちが最良の人生を築くために必要な30のエッセンスを示してゆく。
目次
第1部 強制収容所でフランクルがつかんだもの(人間など、いくら優秀でも大したことはできない。真に偉大な業績は、宇宙の力を借りて行う;苦しみが偽りの自分や幸福を壊したあと、愛が本当の自分と幸福をうち建てる;人間は近くに、神は遠くに幸福を見る。神の視点は、人間よりも常に遠いところに置かれている;虚栄と誇りは違う。虚栄を満たすには他者を必要とするが、誇りは他者を必要としない ほか)
第2部 ロゴセラピーによる魂の癒し(この地上には二つの人種しかいない。品位ある人種とそうでない人種である;フランクル成功の秘訣―些細なことは重要なことのように徹底してやる。重要なことは些細なことのように心を落ち着けてやる;自分を一面だけで判断したらその通りになる。だが、人間とは多面的な存在なのだ;悩む人ほど健康で人間的である。悩む能力が麻痺していないからだ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
108
ドイツの心理学者フランクルの思想の精髄を伝える本。「人生に何かを期待するのは間違っている。人生があなたに期待しているのだ」、「苦しみ悩むのが人間ではない。苦しみ悩むこそ人間なのだ」といった励まされる言葉がぎっしり詰まっており、一読の価値あり。苦しむことに意味を見出すフランクルの思想は、ナチスの収容所での地獄のような経験に裏打ちされていることがよく分かった。個人的には、収容所で塗炭の苦しみをなめながら、夕日や木といったささやかな自然の美を感じ取って、日々の心の糧にする所が一番心に残った。2014/10/24
佐々陽太朗(K.Tsubota)
54
『夜と霧(新訳版)』を読むのに併せ、副読本として読んだ。『夜と霧』のみならず他の書籍に記されたフランクルの到達した哲学を知ることができた。 https://jhon-wells.hatenablog.com/entry/2022/01/27/0845462022/01/26
KAZOO
45
フランクルというと「夜と霧」がすぐ頭に浮かびますが、それ以外にもさまざまな言葉を残されていたようです。この本はそのような言葉をフランクルの生涯などと重ね合わせて紹介してくれます。一つ一つ味わい言葉ばかりかその言葉が発せられた背景を思い浮かべることができ、非常に感銘しました。これも読み友さんの紹介本です。2014/12/28
日々珠
15
我が書き込み多く古ぼけたこの本を、待機中の一人の生徒に渡した。最後に返された時「ありがとうございました」と慣れない声。これが私の読書週間の白眉だったのだろう。2014/10/28
むむさん
8
筆者の考察が強く、推測が多いが、自分にはない考えを知ることができて良かった。フランクルは愛の人なんだな、と再確認できた。2016/04/24