出版社内容情報
本書では、人工知能研究につながる、記憶・学習機能、さらに脳のそれぞれの機能を統合した結果としての意識をテーマとする。
目次
手法編(顕微鏡―脳のミクロ構造を見る;診断装置―外部から脳を見る ほか)
記憶・学習編(海馬(1)―記憶の生成装置
海馬(2)―脳のナビゲーションシステム ほか)
意識編(大脳辺縁系―情動と感情;脳のゆらぎ―無意識な意志決定 ほか)
倫理編(骨相学に学ぶ;社会が価値を決める ほか)
著者等紹介
高橋宏知[タカハシヒロカズ]
1975年生まれ。東京大学先端科学技術研究センター講師(大学院情報理工学系研究科知能機械情報学兼担)。1998年、東京大学工学部産業機械工学科卒業。2003年、同大学院工学系研究科産業機械工学専攻修了。博士(工学)。2008年、科学技術振興機構さきがけ研究者。専門は神経工学と聴覚生理学。日本生体医工学会、電気学会、北米神経科学会等会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポレ
11
前作からリバースエンジニアリングの視点が薄れ、一般的な脳科学の講義風になった。それでもたいへん面白いのは、着眼点が優れているからだろう。「直感」と「直観」の違い。「直感」は閃きやインスピレーション。「直観」は推理せず、直接に対象を捉える能力。将棋のプロ棋士は、瞬時に広範囲の大脳皮質に散在している情報を大脳基底核に統合して、行動を選択している。なるほどである。2021/05/05
やす
10
脳科学入門の2冊目、本当の目的はこちらの意識編。 まずは脳を紐解くための機材説明編。エンジニアは興味あるでしょってこと。電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、2光子励起顕微鏡、レントゲン、CT,PET,MRI,fMRI、NIRS。続いて記憶編。漠然と海馬に記憶されると思っていたが、それは短期記憶だけで長期的には皮質にそれは転移されていく。記憶の登場人物は多い。記憶の対象は感覚器官からの入力だけではなく、運動のつまり脳の出力の記憶、思考の記憶などなども。それらの経路は複雑でいろんなところに偏在する。2024/02/18
Thinking_sketch_book
5
★★★★☆ 講義形式になっており一つ一つがトピック毎のサマリーになっているので読みやすい。 特に印象に残ったのは睡眠と宗教、設計論の話 レム睡眠は体が動かないのでそのまま起きると金縛りになる 昔宗教は神のお告げに基づいて生きていた。それから神がいなくなり(実際に美術作品からも消えており)人間は自分で考えるようになったらしい この本では神の声に代わる拠り所として、また複雑化する社会に適応する為に生き方のマニュアルとして宗教が作り出されたとなっている。2022/12/19
roughfractus02
3
続編では人工知能研究へ向けての脳の機能の統合の効果である意識がテーマとなるのだが、興味深いのはリバースエンジニアリングの有効性が問われる場面が出て来る点だ。この逆行が可能なのはその構造、すなわち場所と機能の対応付けがうまくいく場合である。が、意識が脳のどの部位から生じるか、さらには意識とは何なのかという問いはまだ解決されず、この逆行的方法の限界が明確になる。一方、この限界で著者は意識を現象と捉え、その目的と機能を検討する際に生じる問いに向き合う。つまり、科学と日常の認識の落差を明示する倫理についてである。2018/04/12
オブ犬
1
脳の機能を工学的な視点でリバースエンジニアリングしていくという本の続編。 記憶や意識など、前作よりもより脳らしい機能に切り込んでいっている。 前作同様、論理的にメカニズムで説明していく感じでとても分かりやすい。 意識の話にまでなってくるとさすがに抽象的に依ってきて他の脳科学本とあまり違いは無くなってるような。 2018/03/30
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- 和書
- 白戸修の狼狽 双葉文庫