内容説明
先端技術に強さを発揮している日本は、好むと好まざるとにかかわらず、事実問題として、安全保障面で大きな力をもつにいたっているのである。アメリカが求めるものはそれとして受け止めればよい。そのうえで、われわれは、自らの選択として、持てる技術力を、日本および自由世界の安全保障のためにどのように生かすか、またバーゲニング・パワーとしてどう活用するかを、考えるべきではないだろうか。私は、1982年から85年にかけて、防衛庁装備局や通産省機械情報産業局において、日米の技術問題、安全保障問題に関与する立場にあった。そのときの経験をベースに、以上述べた問題意識をもって本書をまとめた。
目次
序章 先端技術「サシスセソ」
第1章 技術が兵器や戦略を変える―最新兵器とハイテク(古くからの関係―兵器と技術;ミサイル;航空機;艦船;戦車;指揮・管制・通信・情報)
第2章 アメリカは日本に何を求めているか・その1―技術を渡せの論理(対米武器技術供与;熱いまなざし―日本の汎用技術;戦闘機とゴルフクラブ―武器技術と民生技術との相互関係)
第3章 西側の知恵をハイテク兵器に結集―アメリカの技術安全保障戦略(30年間の眠りから醒めた防衛用秘密特許の取りきめ;どちらが高い日米の技術水準;アメリカの競争力への挑戦―87年レーガン大統領一般教書を中心に;選択的抑止―通常兵器への傾斜;西側諸国のハイテク協力で高度の通常兵器を;戦略防衛構想―SDI)
第4章 アメリカは日本に何を求めているか・その2―技術を渡すなの論理(技術水準を東西で比較すれば;東側諸国への技術流出の防止;時代とともに変わるアメリカの姿勢―ココム;科学技術協力と防衛)
終章 技術は貴重な力なり―コンスピラシー・セオリーを超えて