出版社内容情報
アメリカの文学と文化は反知性主義の伝統を抜きにして語れない。気鋭の7名がアメリカン・ソフトパワーの秘密を解き明かす。
内容説明
日本人の無思想に対しアメリカ人の反思想、反知性主義の伝統は、17世紀の異端思想から19世紀のエマソン、フラーらによる超越主義、20世紀のヘミングウェイからヴォネガットに及ぶ反権威主義、ビート世代の神秘主義、レーガンからブッシュ父子へと続くポピュリズムやネオリベラリズムまで、知よりも情を、ロジックよりもキャラクターを優先してきた。反知性主義を抜きにしてアメリカ独自の「知性」はありうるか?気鋭の7人が植民地時代から9.11同時多発テロ、2008年度大統領選までを射程にアメリカニズムの神髄に迫る。
目次
はじめに 恐怖の同毒療法
第1章 アメリカ文学と反知性主義の伝統
第2章 T.S.エリオット、または反知性を内包する知識人
第3章 知性・反知性・神秘主義―マカーシーイズムからIDまで
第4章 ジェンダー・レトリックと反知性主義
第5章 “主知”と“反知”―アメリカ文学創造の活力
第6章 フォークナー文学と反知性主義―構造化されたヴィジョン
第7章 危機下の知性―アメリカ南部と近代日本
おわりに 来るべきアメリカニズム
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読書という航海の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yoko Kakutani 角谷洋子/K
1
難しかったが、アメリカ文学にはメルヴィル、マーク・トウェイン、ヘミングウェイなどを経由しサリンジャー、ヴォネガットにいたる反知性主義の系統があるというのが、面白い。フォークナーの小説も知性主義と反知性主義のせめぎあいの文学であるという。フェミニズムと反知性主義の関連ではジュディス・バトラーが、文体が悪文であるとして散々に批判されていたというから興味深い。セクシュアリティの問題を扱う人はバッシングを受けやすいという現象はよくある話ですね。2020/08/14
y-k-057
1
基本アメリカ文学を主軸として、アメリカの反知性主義を論ずるものがほとんどだけど、最後のものでは日本のそれへの言及もあり。示唆に富む良書2015/07/11
星規夫
0
まったく皮肉なものですね、大学にはまず「実社会で役立つことを教えるべきだ」と期待する姿勢ほどに、反知性主義的な姿勢はありません。――デイン・クローセン『アメリカのメディアにおける反知性主義』 世の中を見渡す上で、この反知性主義という概念はとても大切なのかも知れない。2012/09/12
いなもと
0
これまであまり触れてこなかった知性主義/反知性主義という論点を知るために読んだが、とりあえず先にホフスタッターに目を通すべきだった。尊敬する志村先生の論考はさすがの縦横無尽さで、語り口だけでも楽しめる。個人的にはやはりフォークナーに関する部分と、ホーソーンに関する部分が作家そのものへの理解もビートなどに比べちったああるので興味深かった。文学や政治だけでなく、アメリカの(下位?)エンタメを読み解くにも有用な視点かもしれない反知性主義。2009/10/30
a.k.a.Jay-V
0
巽 孝之氏目当てで。オムニバス。視座を高めて視野を広げてくれる良書。ジャケのコラージュも良し。2019/10/23
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